Apple Musicがアメリカの有料会員数でSpotifyを抜いた

ウォール・ストリート・ジャーナルが、アメリカの音楽サブスクリプションを詳細にレポートしている。アップルは先日、新しい動画のサブスクリプション「Apple TV+」やニュースサービス「News+」、ゲームのサブスクリプション「Apple Arcade」を発表したばかりで、本格的なサブスクリプションサービスへの移行が始まっている。

ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の情報として、アメリカで2月にSpotifyが有料会員数を2600万人を獲得したのに対してApple Musicの有料会員数は2800万人に達した。全世界でSpotifyは世界最大の音楽ストリーミングサービスとして9600万人以上の有料会員を有している。一方でApple Musicは全世界に5600万人の有料会員がいる。

音楽サブスクリプション市場に変化

2018年7月にもApple MusicがSpotifyをアメリカで抜いたとする業界関係者からの情報がレポートされた。その際にはApple MusicとSpotifyは2000万人以上の有料会員をアメリカで獲得して、Apple MusicがSpotifyをわずかに抜いたと伝えられたが、具体的な数字は開示されなかった。

今回のウォール・ストリート・ジャーナルのレポートは、より詳細なユーザー獲得の動向が明らかにしている。例えば2社の成長率だ。

アメリカ音楽市場ではApple Musicの月次成長率は2.6〜3%に達した。これはSpotifyの1.5〜2%を上回る成長速度だ。

Apple Musicはアメリカ市場に加えて、世界の音楽市場でもSpotify以上の成長率を維持している。Spotifyの成長率が2〜2.3%に対して、Apple Musicの成長率は2.4〜2.8%だ。

先日、国際レコード連盟(IFPI)が発表した2018年の世界音楽市場のレポート「Global Music Report 2019」で、サブスクリプション型音楽ストリーミングの売上は32.9%も急拡大して、全体の売上で37%を占めるまで成長している。

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またアメリカの音楽業界団体「RIAA」が発表した2018年のレポートによれば、音楽ストリーミングの売上は全体の75%を占めるまで成長している。アメリカの音楽業界は完全に音楽ストリーミングへ軸足を移し終わっていることが伺える。こうした音楽業界の変化や、音楽ストリーミングに積極的な音楽市場の存在は、Apple MusicとSpotifyにとって成長源として必要不可欠になっている。

インドが次なる巨大な音楽市場

音楽ストリーミングが次に目指すのは、ローカルマーケットだ。アメリカやヨーロッパなどすでに音楽ストリーミングが普及し定着しつつあるが、今後成長する音楽市場は、ローカルの音楽をグローバル化できる市場だと、音楽業界は捉えており、その一つとしてインドの音楽市場と地元アーティストへの投資が進んでいる。

Apple Musicは、インドでサブスクリプションの料金を従来よりも安価な価格設定に変更した。

1ユーザーの料金は119ルピーから99ルピーと安く変わった。ファミリープランは149ルピー。学生プランは49ルピーに値下げされ、新規ユーザーには3カ月の無料トライアルも付いてくる。

Apple Musicの新料金プランは、インドで今年から参入したSpotifyとYouTube Musicが影響している。Spotifyの料金は1ユーザーあたり月額119ルピー、3カ月389ルピー、6カ月719ルピー、年間1,189ルピーでサービスを提供している。一方、YouTube Musicの料金は1ユーザーあたり99ルピーだ。SpotifyとYouTube Musicはそれぞれ1カ月分、3カ月分の無料トライアルを新規ユーザーに提供している。

https://twitter.com/spotifyindia/status/1100584126170550272

SpotifyとYouTube Musicに対抗するのはApple Musicだけではない。インド音楽市場でストリーミング最大手のGaanaは同社のサブスクリプション「Gaana Plus」の年間料金を1098ルピーから299ルピーまで引き下げた。同じく、JioSaavnはサブスクリプションの「JioSaavn Pro」の年間料金を999ルピーから299ルピーへ下げた。「Gaana+」と「JioSaavn Pro」は月額99ルピーで提供されている。

さらにGaanaやJioSaavnはSpotifyと同じ無料プランも提供している。広告付きの音楽視聴が出来るという点では、プレミアムプランのみのApple Musicは他社とは大きく異なる。

インドは世界の音楽業界の今を象徴する市場の一つだ。インドのようにグローバル展開しやすい音楽市場への普及を目指して、音楽ストリーミングやコンテンツプロバイダーの間で熾烈なユーザー獲得の戦いが繰り広げられている。

一方で、世界最大のSpotifyは、ポッドキャストや音声コンテンツへの投資を進めている。オリジナルのポッドキャスト番組を自社制作するなど、音楽以外のコンテンツを包括した世界最大のオーディオプラットフォームを目指そうと新たな戦略を打ち出した。

source:
Apple Music Overtakes Spotify in Paid U.S. Subscribers (WSJ)

Apple Music cuts prices in India (TechCrunch)

Apple Music subscriptions price cut: Plans now start at Rs 99 per month (The Indian Express)

JioSaavn, Gaana prices cut 70% to take on Spotify, YouTube Music in India (xda Developers)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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