ワーナーミュージック・グループは、音楽系スタートアップへ投資を強化する計画を発表しました。ベンチャーキャピタルSOSVとの提携した同社は、SOSVが中国と台湾で運営するアクセラレーターChinacceleratorとMOX(Mobile Only Accelerator)に参加するスタートアップへ出資する機会を探ります。

米プリンストンに拠点を構えるSOSVは、ニューヨークやサンフランシスコ、上海、深セン、台北などに拠点を置きます。過去に900社以上のスタートアップを支援してきており、その中には、音楽ゲーム『ギターヒーロー」『ロックバンド』開発のハーモニクス、パーソナライズ機能のヘッドフォンメーカーのNuraphone(ニューラフォン)などを支援しています。

ワーナーミュージックは2020年に入り、アジアでの事業拡大を加速していることが特徴的です。

3月にはインドに進出しワーナー・ミュージック・インドを新たに設立しました。

インドは世界の音楽市場でも、業界の高い注目と投資が集まる成長市場の一つで、2019年の音楽売上は世界15位まで成長しています。

インド発のGaanaやjiosaavnなどストリーミングサービスが市場を牽引する中、グローバル企業もインドでの事業強化を急いで進めています。Spotifyが2019年2月にローンチしたことで、インドの音楽市場に対する注目が世界的に広がってきました。

ワーナーミュージックは5月にインドのプロダクションでディストリビューターのZiiki Mediaと、10月にはボリウッド音楽の膨大なカタログを持つレーベルTips Musicとのディストリビューション契約を締結しました。YouTubeで100以上のチャンネルを運営するZiiki Mediaと、90年代-2000年代のボリウッドのサントラ・カタログを多数保有するTipsの作品は、ワーナーミュージックのディストリビューションサービスADAによって、世界へ配信されます。

そのADAも、ワーナーミュージック同様に、ディストリビューターとし世界展開が続いています。

今年7月、ラテン音楽専門のグループを設立。9月にはシンガポールを拠点に、中国、韓国などへの配信するアジア専門のグループを設立して、欧米以外の地域へのアプローチを広げてきました。

ADAが配信を支援するアジア系アーティストでは、ヒップホップレーベル88 RisingのJojiやRich Brianがおり、業界で確実な実績を残しています。

音楽ストリーミングの影響で、アーティストのリリース期間が以前の業界のやり方に比べ、短くなり、成長する可能性が拡大している音楽市場の仕組みを考えれば、より迅速にアーティスト支援を行ったり、意思決定するスピードが求められます。従来の音楽企業の仕組みよりも、時代に沿った新しい仕組みや契約を選ぶアーティストも増えていくようになっていくはずです。

今後は、アジア市場で見つけたインディーアーティストをサポートしていくことが、ADAのアジア進出の狙いです。

中国を取り巻く音楽事業では、2020年4月、ワーナーミュージック・グレーターチャイナの新たなCEOに、ワーナーミュージック・チャイナのCEOアンディ・マが昇格しています。グレーターチャイナは中国、香港、台湾を統括するワーナーミュージック・アジアの中の組織です。

IFPI(国際レコード協会)の年次レポートによれば、世界の音楽業界が注目する次のアジア市場は、韓国、中国、インドの3カ国で、それぞれ2019年から売上が8.2%、16%、18.7%の増加を達成しています。韓国、中国は、世界で音楽売上が5位、6位まで成長しています(日本は世界2位)。

source:
Warner seeks music tech investment opportunities in Asia (Complete Music Update)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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