インディーレーベルのライセンス交渉団体のMerlinが、中国最大の音楽ストリーミングサービスであるTencent Musicと、複数年のライセンス契約を更新し、協力関係を強化することを発表しました。

MerlinとTencent Musicは2018年から中国の音楽市場でのライセンス契約ですでに合意済みです。Merlinと契約するインディーレーベルやディストリビューターは、中国への楽曲配信において、Tencent Musicの音楽ストリーミングサービスであるQQ Music、KuGou、Kuwoへの配信が可能になっています。

今回の契約更新では、MerlinはTencent Musicが運営する人気のソーシャルカラオケ・アプリである「WeSing」(全民K歌)への楽曲配信が新たに配信先に追加されたことを発表しました。これによって、インディペンデントアーティストの楽曲がカラオケアプリ内で公式に利用することが可能になっていきます。

MerlinのCEOのジェレミー・サイロータ(Jeremy Sirota)は、今回のライセンス契約について「テンセントとの契約を更新し、戦略的パートナーを強化して非常にアクティブなWeSingサービスに配信できたことを嬉しく思います。Merlinのメンバー企業は、世界で最も知名度が高く、多様な楽曲を管理しています。引き続きメンバー起業が、音楽に共感するファンとのエンゲージメントを高め、新しいリスナーを開拓するための支援を続けていくことを楽しみにしています」と述べています。

今、インディペンデントなアーティストやレーベルが世界へ楽曲を配信する活動を支援する上で、Merlinの存在は欠かすことができなくなってきました。Merlinのメンバー企業であるインディーレーベルやディストリビューターが世界の音楽市場で占める売上高は、メジャーレコード会社に次いでシェア15%まで上昇しています。

2020年に入り、Merlinのメンバー企業も着実に伸びています。現在まで50以上の音楽企業がMerlinに参加し、その活動拠点もブルキナファソやペルー、シンガポール、スロバキア、UAEと、初めて加盟する国の企業も参画しています。

Merlinに参加するメリットの一つは、ライセンス契約で合意する豊富な音楽ストリーミング、配信可能なプラットフォームの数にあります。前述の中国では、Tencent MusicやNetEase Cloud Music、Alibaba Musicが対象となっています。2020年1月には、中国のByteDanceとのライセンス契約に合意したことによって、インディペンデント・アーティストは楽曲をTikTokへ配信できるようになり、また同社が新たに運営を始めた音楽ストリーミングのRessoにも配信可能となりました。

SpotifyやApple Music、YouTube Musicなどのグローバルな音楽サブスクリプションや、TikTok、Facebook/Instagram、Triller、SnapchatなどのSNSアプリも配信可能になってきます。さらに、アフリカのBoomplay、インドのJioSaavn、ロシアのYandex、中東のAnghamiなど、ローカルな音楽ストリーミングへのライセンス契約を締結しているため、世界的に楽曲を配信したいインディペンデントアーティストや、、ビジネスを拡大したいレーベルにとって、旧態然から存在した様々な参入障壁が軽減されることとなっています。

Source:
Tencent Music and Indie Collective Merlin Renew Licensing Agreement (EXCLUSIVE) (Variety)

Merlin Japan 野本晶が語る、世界のリスナーに音楽を届ける方法「どこにチャンスがあるかわからない」 – Real Sound|リアルサウンド

Merlin Network – Representing the rights of independent record labels worldwide (Merlin)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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