MIcrosoft Research ソーシャルメディア研究員のDanah Boyd女史
マサチューセッツ工科大学が出版する雑誌、Technology Reviewが35歳以下の若手イノベーター年間リスト2010年度版を発表。リストは「コンピューティング」「ウェブ」「通信」「バイオサイエンス」「ビジネス」のカテゴリーから合計34人を選出している。彼らは製品や研究、ビジネスモデルを用い人々の生活を向上させ、人権を保護し、貧困や環境問題に取り組んでいる。興味深い発見として、彼らの中には企業で活躍する人も多く (MSやGoogle、アルカテル・ルーセント等)、ビジネスと革新を同時に推進していることが見受けられる。Microsoftからは最多5人の研究員が選ばれている。 リストの中から、今回は2人を紹介。 Microsoft Researchでソーシャルメディア研究に携わるDanah Boyd女史 (@zephoria)は、ユーザー自らがソーシャルメディア上で個人情報を保護しながら安全に利用できるよう、業界と相互理解できるルールの策定に向けて政府機関やプライバシー擁護団体と協議を進めている。これまでグーグルなど企業のソーシャルメディアポリシー作成にアドバイスをしてきたBoyd女史は、ソーシャルメディア上で起こるティンネージャーの意識変化や、インターネットがプライバシーの概念にもたらす影響など、「見えない」疑問に対する答えを探求している。参考:SXSWキーノート:Danah Boydがプライバシー、パブリシティーとテクノロジーについて考察 (3/15 TechCrunch Japan) 彼女のブログ「apophenia」は様々な業界やユーザー層のソーシャルメディアに関する動向や現状に関するレポートとして非常に参考になる。
2010年ヒューマニテリアン・オブ・ジ・イヤーに選出されたDavid Kobia氏は、政治的または地域的にメディアが規制される状況下で、ジャーナリストやブロガー達がオンラインのツールを使って人々に情報を迅速に伝えることができるウェブサイトおよび団体である「Ushahidi」の創立者兼責任者を務める。2007年ケニアの大統領選挙で起こった暴動を、ケニアのブロガー達がGoogle Map上にマッピングすることで、暴動の状況、位置、時間を正確に知らせるためのツールとして始まったプロジェクトは、その後ハイチ大地震やメキシコ湾石油流出など、世界中でメディアが報道しきれない暴動や災害などをレポートできる危機情報サイトのプラットフォームとなった。
2010年ハイチ地震のレポート
またKobia氏はUshahidiをオープンソースとすることで、外部団体がAPIを利用してモバイルアプリケーションを開発できたり、ツールを使ってサイトを構築できるようにしている。現在30カ国以上で採用されているUshahidiは、地球上の誰もが参加できるオープンなコミュニケーション・プラットフォームとして、テクノロジーの新たな利用を方向付ける。
参考:これぞ新世界のジャーナリズム! 暴動・事件をリアルタイムにマッピングするUshahidi (9/29/2009 Greenz.jp)
その他には、Tumblr創立者のDavid Karp氏、GoogleでGoogle AnalyticsとGoogle Voiceを開発し現在はGoogleでベンチャー投資を担当するWesley Chan氏、Bingの画像検索エンジンに採用されたアルゴリズムを開発したMicrosoft Research上海のJian Sun氏などが選ばれている。
詳細のリストは下よりご覧いただけます。2010 Top Young Innovators under 35 (8/25 TechnologyReview)