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Skypeの創業者が立ち上げた、アメリカの定額制音楽ストリーミングサービスRdioが2014年後半から無料の聴き放題配信サービスを開始すると発表しました。

Rdioは現在月額4.99ドルと9.99ドルの定額制の聴き放題サービスを展開しています。時期は発表されていませんが、Rdioとパートナー関係にある衛生ラジオネットワークCumulusによれば、2014年内に広告付きのオンデマンド型聴き放題サービスを無料で提供する予定です。

Rdioは2013年から好きなアーティストやジャンルの曲から自分の好みにあった音楽を自動再生してくれる「パーソナライズド・ラジオ」機能は無料で提供し始めました。しかし通常のオンデマンドの聴き放題サービスでは、7日間の無料体験期間を用意するのみでした。無料視聴のオプションを開始することは、有料会員数を拡大させ、ライバル企業から引き離されないためにも必要でした。

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Rdioの現在の月額サブスクリプションフィー

すでに競合のSpotifyやPandora、iTunes Radioは、広告モデルの無料のストリーミングサービスを開始しています。

RdioはSkypeの共同創業者Janus Friisによって2010年に始まった音楽サービスで、アメリカではSpotifyやBeats Musicなどオンデマンドの音楽ストリーミングサービスと競争しています。

2013年、アメリカでは初めてデジタルダウンロードの売上が下がり、音楽ストリーミングサービスへの注目と利用が拡大しました。この領域をリードしているSpotifyも、以前は有料だったモバイルからのアクセスを無料に変えるなど、ユーザー獲得に向けた戦略を実施してきています。

今は、音楽を「所有」するライフスタイルから、音楽に「アクセス」するライフスタイルへ、消費者環境が変わり始めている転換期です。この時代では、所有することに対する将来性の無さや不必要性を改善することよりも、アクセスモデルの利便性を改善することに音楽業界やIT企業は注力していることが、世界の大きな流れです。

現在日本では、音楽聴き放題できるサービスで無料視聴を提供している企業は皆無。また無料に向けて動いている企業も見当たりません。ようやく「iTunes Match」が始まりましたが、年間3980円とアメリカの利用料金(24.99ドル)よりも高く設定されています。つまり、日本では音楽を聴くことにお金がかかってしまうことが現状で、企業は音楽視聴の価値を消費者にPR出来ていないことが大きな問題になっています。日本の音楽は無料と有料を活用した価格戦略について考える時期に来ているのかもしれません。

ソース
Rdio will launch free, ad-supported service later this year, add traditional radio content (4/30 GigaOM)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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