世界最大のレコード会社「ユニバーサルミュージック」の第1四半期決算が親会社ヴィヴェンディから発表されました。世界的な大ヒットとなった「アナと雪の女王」サウンドトラックや、急成長を続けるサブスクリプション型音楽配信サービスなど、プラス要因がありました。しかし、長期にわたるCD売上の継続的低迷、そしてダウンロード売上の低下が響き今期の売上は2%減少しました。
1ー3月期の売上は9億8400万ユーロ(13億5000万ドル)、実質ベースで前年同期比2%の減少でした。2013年7月に売却したパーロフォン・グループの影響を加えると、売上は11億ユーロで前年同期比9.8%の減少でした。
パーロフォンの影響を除いたEBITDAは前年同期比72.5%増で5600万ユーロでした。
「アナと雪の女王」サウンドトラックの他に売上を牽引したのは、ロード、ケイティ・ペリー、アヴィーチーなど昨年リリース作品の継続的な売上、そして福山雅治の新作が好調だったことが挙げられます。
ユニバーサルミュージックは決算報告書の中で
レコーディング音楽の売上は、サブスクリプション型音楽サービスおよびストリーミングサービスの著しい成長が好調でした。しかし今季は業界全体でダウンロード売上が低下したことで、急成長をもってしてもCDとダウンロード売上の低下を補完することはできませんでした。
と述べています。
ユニバーサルミュージックの決算から見て取れる大きなトレンドとしては、SpotifyやRhapsodyなど音楽ストリーミングが重要な成長要因として認識されている点、そしてアメリカなど主要な音楽マーケットにおける音楽ダウンロード売上が第1四半期では最大13%低下している点、そして現段階では音楽ストリーミングやサブスクリプション型音楽サービスからの売上は、その他のビジネスの売上低下を防ぐまでの規模には至っていないという点です。
ユニバーサルミュージックでは2014年の大型リリースとしては、ラナ・デル・レイの「Ultraviolence」(6/16)、ケンドリック・ラマー(9月)、またEDMの分野ではTiestoやdeadmau5のアルバムが控えています。さらにカニエ・ウェストやレディー・ガガが新譜をリリースするかもしれないという噂もあり、今年もまた注目作が多く聴けそうです。
次のビジネスを求めて
1-3月期でユニバーサルミュージックは新たにパートパーシップや投資を積極展開し、ビジネスを強化しています。2月にはインディーズレーベルGlassnote Entertainment Groupとエクスクルーシブ・ディストリビューションで複数年契約を締結し、マムフォード・アンド・サンズやPhoenix、CHVRCHESなどの作品を独占的にリリースしていきます。
ユニバーサルミュージックはまたGlassnoteが新設した、新人プロデューサーやインディーズレーベル、音楽起業家に個別のサポートを提供するレーベル「Resolved」ともディストリビューションで契約を締結しました。
4月にユニバーサルミュージックは音楽映画やライブ映像、ドキュメンタリーなど映像制作を手がける「Eagle Rock Entertainment」を買収し、高品質な映像コンテンツの提供を強化します。
想像ですが、ユニバーサルミュージックでは音楽を届けるために「もっといい方法があるはずだ」と常に考えているように感じます。どんな時でももっといい方法で音楽体験をリスナーに作っていきたいと信念があるからこそ、今はパートナーシップや投資という手段に出ていると思うので、弱気な様子が見られないというイメージです。