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先日、定額制音楽ストリーミングサービスで新曲を独占公開したプリンスが、ジェイ・Zが運営する高音質の定額制音楽ストリーミングサービス「TIDAL」で最新アルバム「HITNRUN」を9月7日に独占配信することを発表しました。

【プリンスの記事はこちら】
Spotifyから楽曲を削除したプリンス。突然、Spotifyで新曲の独占配信を敢行

プリンスはSpotifyやApple Musicなど定額制音楽ストリーミングサービスから楽曲カタログを削除しています。しかしTIDALでは現在も配信を続けています。TIDALは5月にプリンスが出演したチャリティ・コンサート「Rally 4 Peace」の模様を独占で配信していました。

8日に開催されたプレス関係者とのイベントで、プリンスは現在の音楽業界でアーティスト活動や作品の権利を管理する「契約」を「奴隷制」と彼独特の表現で非難します。

レコード契約は、奴隷制度のようなもの。全ての若手アーティストに言いたい。『契約するな』と

プリンスは一般的なレコード会社との契約はアーティストに強制労働を強い、音楽の使用に関する権利は最小に抑えられ、特に音楽ストリーミングサービスからの分配についてはどうすることもできないこの状況を打開したいと説明します。

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TIDALを配信プラットフォームとして選んだ理由に、プリンスはジェイ・Zとの契約は他サービスとは違い、楽曲でアーティストとコラボレーションする自由が得られ、作品から得る収益をコントロールできることを挙げて、その重要性を説きます。

またプリンスは音楽ストリーミングサービスからアーティストが直接収益が支払われるモデルを支持すると語り、Clear Channelが支配するラジオ産業など、レコード会社や権利関係者から収益が分配される現在のモデルを批判しました。

プリンスは全米黒人ジャーナリスト協会(National Association of Black Journalists)のジャーナリスト10人をミネアポリスにあるスタジオPaisley Park Studiosへ特別に招待し、Q&Aセッションを行いました。

音楽を聴くためのプラットフォームが多様化していることを認知してもらい普及させることが、現在の音楽業界では最重要項目の一つと言えます。ですが、ビジネスとして成長を狙うのか、それともミュージシャンが満足する環境を整えるのか、音楽ファンに感動を与える要素を取り込むのか、どこにフォーカスを置くかによって、うまくサイクルを回すことができ、最終的には音楽業界にプラス成長で寄与できると感じています。特にCDとは違うビジネスモデルを推しだす定額制音楽ストリーミングサービスでは、CD時代とは全く違うアプローチを既存モデルと照らし合わせながら、作品をサポート(対価を支払う)システムを再考していく時期に差し掛かっています。

ソース
Prince Compares Record Contracts To Slavery In Rare Meeting With Media : The Two-Way(NPR)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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