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iPhoneから本当にイヤホンジャックがなくなるのでしょうか?

アップルがBluetoothのワイヤレスイヤホン用に独自の無線チップを過去数年間に渡って開発してきたと、開発プロジェクトの関係者の情報としてフォーブスが伝えています。

iPhoneの次期モデルにイヤホンジャックを無くそうと動いている噂が徐々に現実するかと見られていますが、どうやらアップルはだいぶ以前から仕様の変更を予定していた模様です。

フォーブスによれば、Bluetoothイヤホン開発にアップルが成功すれば、現行のBluetoothイヤホンが抱えているバッテリー消費の問題を改善できるだろうと伝えています。

低電力無線チップの開発は、アップルが2013年に買収したスタートアップPassif Semiconductorの技術が応用されているとのことですが、現在は機能性の問題で現在はプロジェクトの進行が遅れている模様です。

アップルは当初2015年にBluetoothの製品を発表する予定にしていたが、やはり機能の問題により製品化に待ったがかかったと情報ソースの話をフォーブスが伝えています。

今年5月には、2014年に買収したオーディオメーカーBeats Electronicsの技術を使い、各耳が完全個別型の、新たな高級Bluetoothオーディオ機器を開発していると9to5macがレポートしていました。

アップルとBeats、新デザインのBluetoothイヤホン開発との噂。「iPhone 7」と同時に発表か? (All Digital Music)

2013年にアップルが買収したPassif Semiconductorは、「低電力かつ小型のスイッチ型無線トランシーバー」を開発する技術を持ち、LinkedInのプロフィールによればPassifの共同創業者ベン・クック(Ben Cook)とアクセル・バーニー(Axel Berny)は現在もアップル社員として無線技術の活動を続けています。

近年、Bluetoothイヤホン/ヘッドフォンの市場は急成長しています。アメリカのヘッドフォン売上では市場の54%がBluetooth型デバイスだったと調査会社NPDの調査によって明らかになっています。一方でBluetoothのイヤホンやヘッドフォンはバッテリー時間が短い、音質が悪いなど問題も抱えています。

カギとなるのは、アップルとBeats Electronicsが今後どうオーディオビジネスを展開していくかではないでしょうか? iPodの新製品が途絶えて以来アップルは具体的な音楽ハードウェア戦略を打ち出しておらず、その間にApple Musicなど定額制音楽配信などサービス戦略を強化してきました。

一方で、アップルが自社オーディオ製品を新たに販売するために、現在もヘッドフォン、スピーカー分野で高い知名度を維持するBeats by Dreブランドをアップルブランドに統合(または廃止)するような展開はアップルにとってもデメリットでしかないはずです。プラットフォームのiPhone、サービスのApple Musicと揃った音楽ポートフォリオで欠けているのが、オーディオ機器。アップルであればSiriやApple Musicの利用を促進するために製品間での横連携を強化していくでしょう。むしろ単なるオーディオアクセサリーでは満足できない状況にアップル自身が迫られていることが戦略を立てにくくしている要因かもしれません。

ソース
Apple Is Developing Wireless Earbuds With Custom Low-Power Bluetooth Chip(Forbes)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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