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元ビートルズのリンゴ・スターが、定額制音楽配信や新人アーティストの育成など、デジタル時代の音楽シーンに対する見解を、ビジネス誌「Businessweek」のインタビューで答えています。

インタビューでは、なぜビートルズがSpotifyやApple Musicなど定額制音楽配信サービスでビートルズの楽曲を解禁したのか?デジタル音楽の影響、さらには現代の音楽シーンの問題点について 音楽史でも最も成功したアーティストが語っています。

ビートルズの楽曲が解禁されたのは、今からわずか半年前の昨年のクリスマス。Spotifyが開始した2008年から数えて7年越し、定額配信からホールドアウト(配信を拒否)する有名アーティストだったビートルズがようやくプラットフォームに参加する決定に至ったことは、定額配信にとって大きな勝利と言えます。

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僕たちは時代と共に移り変わってきました。ただそれだけです。アナログレコードが来て、次にCDが来ました。それにより僕たちにとって経済的なメリットが生まれました。

結局僕たちはCDを選びましたが、たどり着くまで時間がかかりました。iTunesでも同じでした。

音楽配信が今拡がっています。だから僕たちも前進するのです。次に何が起きるか、誰が予想できますか?カニエ・ウエストの考えが予測できますか?

ロイヤリティ分配が不公平だというアーティストと音楽配信サービス間の対立について、リンゴ・スターはアーティストの味方との見解を示していますが、同時にアーティスト活動の複雑さも嘆いています。

僕の好きなことはアーティストをサポートすることです。音楽配信で1200万再生されても、5ドルのチェックしか受け取れないアーティストがいると聞きました。この状況はフェアではありません。ビートルズはうまくいっています。契約を優先することができますから。

今から音楽活動を始めるアーティストは、演奏できるクラブも少ない、ライブ会場も減った。とても厳しい状況です。テレビ番組で数ヶ月だけ稼働するセレブミュージシャンになるほうが、堅実に活動を続けるよりも簡単になってきました。多くの人は朝起きたらビートルズみたいになれると簡単に思っているようですが、全く違います。僕たちはさまざまな会場と一緒に仕事をして時間を注ぎ込みました。

デジタル音楽が世界で普及して、特に音楽配信の人気が拡大していますが、リンゴ・スターは音楽を聴くツールとして今でもラジオやiTunesと一つの聴き方にこだわってはいない様子です。

家では全て、使います。iTunesはお気に入りです。ビートルズが音楽配信で始まって、数十億回再生されていますが、僕は未だに音楽配信で再生したことはありません。車に乗っている時は、「88.5 Northridge」(KCSN-FM)のラジオを聴きます。

ある晩、友人と彼らの息子の18歳と食事をしました。彼はCDもアナログLPも買っています。彼らがはアナログレコードに戻ることで、「反抗」を示唆しています。

ビートルズの定額配信への参入は、今後の音楽消費の未来が音楽配信に大きく傾こうとしている予兆だとすれば、ホールドアウトしてきたアーティストたちの楽曲解禁が、新しい音楽プラットフォームの本格化を示唆して言えるでしょう。同時に、定額配信の登場そして世界での普及を発端に、テイラー・スウィフトやトム・ヨーク、コールドプレイ、アデル、ジェイ・Z、カニエ・ウェストなど、アーティストたちが音楽配信を巡るビジネスモデルの課題に対して声を挙げる姿勢を示し始めていることも、定額配信の普及を意味する流れと言えます。

SNSやメディアの波及効果が高まり、アーティストの声が今まで以上に多くの人に届く時代になった今こそ、アーティストたちの発言や、ビートルズの参入が、次の音楽市場を作る重要な決定に影響を与える「音楽の力」と言える時代なのかもしれません。

ソース
Ringo Starr: How the Beatles Benefited From Being Late to Digital(Bloomberg Businessweek)
photo: rainbow beatle mania : france (2014) (license)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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