DEREK ‘MIXEDBYALI’ ALI, FOUNDER/CEO OF EngineEars, A PLATFORM PROVIDING BUSINESS TOOLS TO MUSIC CREATIVES, ANNOUNCES FIRST ROUND OF FUNDING

スキルあるミキシング・エンジニアと、楽曲を制作したいアーティストやレーベルとをマッチングさせ、楽曲制作プロセスを効率化する、音楽制作者専用のプラットフォーム「EngineEars」(エンジニアーズ)が、100万ドル(約1.1億円)の資金を調達しました。

出資者には多くのヒップホップアーティストや、プロデューサーが名を連ねています。

ケンドリック・ラマー、Roddy Ricch、Russ、DJ Mustard、DJ Khaled、YG、Ella Mai、Bas、Masego、Kenny Beatsなどがエンジェル投資家として参加しました。

さらにはDreamville (J・コールのレーベル)のIbrahim Hamad、XO (The Weekndのレーベル)のLa Mar Taylor、10Summers (Dj Mustardのレーベル)のMeko Yohannes、インディーレーベル/マネジメントのEQTが出資しています。出資ラウンドはロサンゼルスのVC、Slauson & Co.がリードしました。

EngineEarsは2018年に、グラミー賞受賞経験のあるミキシング・エンジニアのデレック・アリ(Derek “MixedByAli” Ali)が設立した音楽サービスです。

1989年生まれのアリは、ケンドリック・ラマーをデビュー当時から支え、Top Dawg Entertainmentのインハウス・エンジニアも務めています。

これまでにケンドリック・ラマーの『DAMN.』『To Pimp a Butterfly』「HUMBLE.」、チャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」、DaBaby feat. Roddy Ricchの「Rockstar」などで6度グラミー賞にノミネートされ、3度受賞してきました。

近年、彼のクレジットにはNipsey Hussele、Brockhampton、Cardi B、Drake、Pop Smoke、Megan Thee Stallionなどの作品が加わり、業界でもトップクラスのエンジニアの一人です。

アリはEngineEars開発において、レコーディングエンジニアや、作詞作曲家、プロデューサーなど、現代の楽曲制作に欠かせない存在でありながらも注目されず、時には無視されてしまう人々が、正当な評価を受けれるよう、業界構造を改善しようとする狙いがあります。

「音楽産業においてインディー音楽市場が成長する中で、オーディオエンジニアは舞台裏で常に活動し、日の目を見ることは滅多にありません。その理由から私たちはプレシード・ラウンドで資金調達を行い、最高の人材を採用し、音楽クリエイティブ向けに最高のプラットフォームを開発します」

EngineEarsでは、世界各地の独立系エンジニアが登録でき、アーティストやレーベルからの仕事を受注することができます。

プラットフォームは招待制で、2021年1月に1にアルファ版をローンチしました。すでに2000人以上が順番待ちリストに登録しています。

エンジニアとのマッチングが完了すれば、アーティストはEngineEarsにデータをアップロードし、リリース用に楽曲のミックス作業が行われます。

EngineEarsは、フリーランスで活動する独立系エンジニアが抱えてきたこれまでの課題解決を目指します。ミックス作業と並行してのクライアント獲得、ミキシングサービスの価格設定や、スケジュール管理、プロジェクト管理など、様々な業務上の問題を効率化させてくれます。

アーティストは、エンジニア探しに費やす時間やコスト、案件の価格交渉の手間が軽減でき、作った音楽を配信用に時間をかけず品質向上できるメリットが得られます。ミキシングエンジニアとアーティストにとってWin-Winな関係を構築するための音楽B2Bプラットフォームと言えます。

EngineEarsでは、次世代のエンジニアを育成するワークショップも開催してきました。アリが制作に携わった楽曲を細かく再構築して、ミックスのスキルアップや、現場で使えるテクニックを教えるセッションが行われてきました。現在は新型コロナウイルスの影響もあり、Twitchで定期的にセッションを配信しています。

楽曲を再構築しながら、音楽制作の舞台裏を解説する「Deconstruction」セッションは、エンジニアやプロデューサーのYouTubeやTwitchチャンネルの動画配信で、人気のコンテンツとなっています。ヒップホップやダンス・ミュージックで多く解説動画が投稿されてきましたが、今ではポップスやK-POPの分野のプロデューサーやエンジニアも動画を使って、楽曲解説を行うことが、コンテンツ展開の一つにもなっています。

新たな資金調達を受けて、EngineEarsでは、エンジニアが自身のビジネス運用に活用できるサービスの追加を目指します。ビートの売買、契約書の交渉機能などが追加機能として検討されています。

source:

Music mixing marketplace EngineEars raises $1M, with help from Kendrick Lamar (TechCrunch)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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