ソニーミュージック・グループは、マイケル・ジャクソンの音楽著作権とカタログ原盤権の半分を買収することに合意したとBillboardが報じました。
今回の契約は、アーティストの音楽資産取引では過去最大で、ソニーは最低でも6億ドル (約900億円)を支払うこととなります。
マイケル・ジャクソンの音楽権利の評価額は、12億ドル以上 (約1800億円)とも15億ドル (約2240億円)とも見積もられています。
ソニーミュージックが買収する権利には、マイケル・ジャクソンのMijac Musicの著作権も含まれます。
Mijac Musicは、マイケル・ジャクソンが作曲した全楽曲の権利に加えて、同氏が取得した他アーティストや作曲家によるカタログの権利も保有しており、その中には、エルヴィス・プレスリー、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、カーティス・メイフィールド、ジェリー・リー・ルイス、ギャンブル&ハフなどのヒット曲やカタログが含まれます。
今回の取引には、ブロードウェイ・ミュージカル『MJ』や、マイケル・ジャクソンの音楽をフィーチャーした舞台作品からのロイヤリティは含まれていません。
独立系音楽出版社のプライマリー・ウェーブは、引き続き、著作権10%を保有します。
高まるマイケル・ジャクソンの権利の価値
2023年2月、エンタテインメント・ビジネス・メディアVarietyが、マイケル・ジャクソン財団がカタログの半分の売却交渉を行っていると報じていました。当時の推定評価額は8億ドルから9億ドルで、ソニーをはじめ、複数の企業が交渉に応じていると言われていました。
それから1年で、評価額が増額したため、ソニーミュージックとの取引には、以前の交渉とは別の権利も新たに含まれた可能性があります。
Luminateのデータによれば、マイケル・ジャクソンの楽曲売上と、ストリーミング再生売上は、2020年のアルバム換算額で107万ユニットから、2023年には147万ユニットへ、3年間で37%増加しています。
マイケル・ジャクソンのストリーミングサービスでの再生数は、2021年は47億再生で、2023年は65億再生と、3年で38.3%増加しており、世界規模で高い影響力がさらに拡大しています。
ソニーミュージックと権利買収
ソニーミュージックが近年、買収したアーティストの権利では、2022年にボブ・ディランの全カタログ楽曲と、今後制作する楽曲の原盤権を取得しました。
買収額は非公開で、最大2億ドルと評価額は見積もられています。ちなみに、ボブ・ディランは、2020年、600曲以上の全楽曲分の著作権をユニバーサル・ミュージック・パブリッシングに売却しています。
2021年には、ブルース・スプリングスティーンのヒット曲を含む、全楽曲分の原盤権及び著作権を取得。ソニーが権利買収に支払った額は5億ドルに上ると報じられました。
ブルース・スプリングスティーンは1972年以降、ソニーミュージックのコロムビア・レコードと契約しています。
また2021年には、ポール・サイモンの著作権をソニーミュージック・パブリッシングが非公開の金額で買収しています。
取得した権利には、ポール・サイモンのソロアーティストとしての作曲に加えて、サイモン&ガーファンクル時代の作品の権利など、60年以上のアーティスト活動からのヒット曲が含まれます。
Source:
Sony Music Acquires Major Stake in Michael Jackson Catalog, Valued at $1.2 Billion-Plus (Variety)
Sony Music Buys Stake in Michael Jackson Catalog, Valuing Rights at Over $1.2B (Billboard)
Bruce Springsteen Sells His Masters, Publishing to Sony for $500M (Billboard)