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ここでご紹介する文章は、定額制音楽ストリーミングサービス「 Spotify 」が、2013年12月にアーティストやレコード会社、権利者向けにSpotifyのビジネスモデルやロイヤリティ額支払いシステムなどを説明する目的で立ち上げた特設サイト『 Spotify Artists 』の翻訳バージョンです。

http://www.spotifyartists.com/

この翻訳は非公式な翻訳になりますが、テキストの翻訳、内容の確認およびチャートの提供は、Spotify Japanの皆さんにご協力いただき実現しました。ありがとうございました。Spotify Japanのウェブサイトが公式オープンするまでの間、アーティストやレコード会社の方、権利関係者の方により深くSpotifyを理解して頂き、アーティスト活動やビジネスに最大活用するためのご参考にしていただければ幸いです。Spotifyが、音楽好きや音楽ビジネスに関わる1人でも多くの方にとって、今後最良のパートナーになってほしいと願っています。

今回「Spotify Artists」からご紹介するのは、Spotifyのビジネスモデル、成長、収益モデル、ロイヤリティ支払いメカニズム、海賊行為撲滅への貢献を示した「Spotify Explained」です。本文は、以下の9セクションに分かれています。

  • Spotifyはどのようにして音楽ビジネスに貢献していますか?
  • Spotifyのこれまでの成長
  • Spotifyはどのようにして収益を上げているのですか?
  • どのようにロイヤリティ料は支払われるのでしょうか? 
  • ロイヤリティ支払いの詳細
  • えっ!Spotifyはストリーミング再生ごとに支払うとばかり思ってたよ…
  • 支払い実績
  • Spotifyとその他のサービスとの比較
  • Spotifyの違法ダウンロードへのインパクト

Spotify Artists」に関するお問い合わせ、ライセンスやロイヤリティなどのご質問は、Spotify Japan株式会社ライセンシング&レーベル・リレーション担当ディレクターの野本晶さんにご連絡頂くか、Spotify ArtistsのTwitterアカウント(英語)または問い合わせページでよろしくお願いします。または自分宛てにFacebookでメッセージかメールを下さい。

メール:Spotify Japan株式会社
メール:Spotify Artists(英語)
コンタクトフォーム:Contact Spotify(英語)
Twitter: @spotifyartists(英語)

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Spotifyはどのようにして音楽ビジネスに貢献していますか?

これまでの音楽消費は非常にシンプルでした。

人々はラジオで聴いたお気に入りの曲を探してショップに足を運び、フィジカル・パッケージの音楽を買っていきました。ここ二、三十年の間に、シンプルだった音楽消費は細分化され、違法ダウンロードやiTunesダウンロードからYouTubeやその他のオンデマンド・ストリーミング再生まで、消費行動は多様化していきました。不幸にも、今日の音楽消費の大半からは、アーティストは何も得られないか、わずかな収益しか望めません。私たちはこの問題を解決しようと懸命に取り組んでいます。そしてアーティストが受け取るべきロイヤリティを生み出せる、合法で有料のサービスを音楽ファンに提供できることを誇りに思います。

リスナーを広告モデルの無料プランを提案することで、私たちは彼らを違法ダウンロードや、収益性の低いプラットフォームから遠ざけ、これまでと比べはるかに高いロイヤリティを生み出します。ユーザーが無料プランを使い始めた後、私たちはユーザーを通常の音楽消費(米国音楽ダウンロードユーザーの平均額約5ドル)の2倍に相当する月額9.99ドルの有料のプレミアム・プランへと誘導します。

私たちはサービスを展開する全ての国で、アーティストとレコード会社のための収益を拡大することに成功し、10億ドル以上をロイヤリティとして今日までに支払ってきました。この支払いは2013年単年だけで5億ドルに上ります。私たちはロイヤリティ支払いを、ラジオ、iTunes、Pandoraよりも小さなユーザー規模で達成しています。そして私たちは成長を続けていけば、ロイヤリティ料支払いは数十億ドル規模に達すると予想しています!

下記のチャートは、1997年以降の音楽業界の減退を示しています。デジタル・ダウンロードが大きく成長しましたが、業界全体の売上の大半は大きく減少しました。急速な減少の原因は音楽消費の低減ではなく、アーティストに大きな収益をもたらさない音楽フォーマットにユーザーの視聴行動が移行したことにあります。

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過去15年における音楽業界の減退。デジタル・ダウンロードの売上はフィジカル・パッケージ売上げの減少を補完できていません。Spotifyは、お金を出して音楽を楽しむように音楽ファンを説得することで、失われた多くの価値を取り戻すことにチャレンジしています。

 

Spotifyモデルは、音楽ファンを収益性が明らかに低いフォーマットから、1リスナー当たりの価値がはるかに高い有料ストリーミングサービスへと移行させ、失われた価値を再生することを目指しています。下記のチャートは、Spotify Premiumユーザーが年間に支払う額と、米国の音楽リスナーが音楽購入に使う平均額を比較しています(音楽に全く支払わないユーザーは含まれません)。

 

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NPD Groupの定評ある音楽コンサルタントRuss Crupnickによれば、米国ネット人口1億9000万人において、音楽を購入するのはわずか45%です。このユーザー層が年間で消費する金額の平均はたったの55.45ドルです。

 

Spotify Premiumユーザーは、今日の米国音楽消費者よりも2倍以上の売上を毎年業界にもたらしてくれます。Spotifyのゴールは、世界中の何百万もの人々がプレミアム会員に移行するように働きかけることで、音楽業界を再び成長させることです。次のセクションでは、Spotifyがこれをどのように達成しているのか、ご説明します。

 

Spotifyのこれまでの成長

Spotifyはすでに違法ダウンロードや収益性の低い音楽消費のフォーマットによって失われた価値の回復に向けて、著しい前進を見せています。Spotifyは2013年3月に世界中のユーザー数が2400万人以上を突破しました。そのうち1800万人は、利用中に広告が流れたり表示される無料プランを利用するユーザーでした。同時に、600万人以上が9.99ドル/9.99ポンド/9.99ユーロのSpotify Premiumプランを利用する有料会員でした。

下記のチャートは過去数年間で急成長するSpotifyのユーザー規模を示しています。

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このチャートは、Spotifyローンチ以降におけるユーザー規模の成長を示しています。ダーク・グリーンの部分は有料会員を示しています。

 

特に重要な点は、Spotifyが新規ユーザー1人を獲得する度に、私たちの収益は増加し、同様にロイヤリティの支払いも増加していることです(Spotifyのロイヤリティ支払いと収益の関係は以下のセクションをご覧ください)。下のチャートは、Spotifyのユーザー増加に伴い年々急速に拡大するロイヤリティ料の支払い総額を示しています。

 

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このチャートは毎年Spotifyが支払うロイヤリティの総額を示しています。今日まで、私たちは10億ドル以上のロイヤリティを支払い、2013年だけで5億ドル以上を支払っています。

 

Spotifyは業界へのロイヤリティ支払いを拡大するだけでなく、1ユーザーあたりの価値も拡大させてきました。

2013年までに1ユーザーあたりの平均収入(Average Revenue Per User)は、41ドルに拡大しました。この額は、年間120ドルを使う有料のプレミアム会員と、広告が表示されたり流れたりするフリーユーザーの平均額です。

米国の大人が平均的に音楽に使う金額は25ドルです。一方、Spotifyユーザーが音楽に使う金額は41ドルです(全収入/全ユーザー数)。簡単に言えば、SpotifyユーザーはSpotifyを使わない米国の平均的音楽ユーザーよりも1.6倍価値があると言えます。

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グリーンのバーは、フリーユーザーを含むSpotifyユーザー1人あたりからの収益を表しています。ブラックのバーは、3人に1人は年間音楽に費やす金額は0ドルということを考慮した上での、米国成人ネットユーザーが年間で生み出す業界への収益を表しています。

 

Spotifyは今後とてつもない程大きく成長する可能性を秘めています。Spotifyは2013年12月、新たに20ヵ国でサービスを開始し、世界で55ヵ国に拡大しました。2014年も私たちはこの急速な世界展開を継続する予定です。この成長によって数百万人規模の新規ユーザーを短期間で獲得し、ロイヤリティの支払いを拡大することができるでしょう。世界的な成長はSpotifyがすでに運営されている既存の市場での成長スピードも加速させます。

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グリーンはSpotifyが利用可能な国を示しています

 

Spotifyはどのようにして収益を上げているのですか?

Spotifyは2つのソースから収益を上げています。広告収入モデルのフリープランと有料会員制のプレミアム・プランです。

フリープラン:

Spotifyには2つのフリープランがあります。1つ目はデスクトップ/タブレット、2つ目はモバイルです。
デスクトップ/タブレット向けのフリープランでは、ユーザーは好きな曲を私たちのカタログからオンデマンドで聴くことが できますが、曲間には一定の割合で広告が表示または流れます。

モバイル(スマートフォン)向けのフリープランでは、「シャッフル・モード」で聴くことができます。ただし、オンデマンドまたはオフラインで聴くことは出来ません。また、スキップできる回数などに制限があり、曲間には一定の割合で広告が挿入されます。モバイル向けのフリープランについての詳細は、ブログ(英語)をご覧ください。

広告主はフリープランで配信される広告についてSpotifyに広告料を支払い、Spotifyはこれをロイヤリティ支払いに充当します。

プレミアム・プラン:

Spotifyのプレミアム・プランでは、ユーザーはスマートフォン、タブレット、テレビなど全てのデバイス間で無制限に音楽を聴くことができます。またユーザーは、楽曲をデバイスに一時的にダウンロードして地下鉄や飛行機内で楽しむこともでき、高音質の音楽を広告無しで楽しめます。プレミアム・プランは月額9.99ドルです。

収益:

Spotifyの全収益はフリープランでの広告売上と、プレミアム・プランの有料会員料で構成されます。

どのようにロイヤリティ料は支払われるのでしょうか?

Spotifyは全サービスで発生した総収入(*)の70%近くを権利者にロイヤリティとして支払います。「権利者」とは、Spotifyで再生可能な楽曲に関する権利の保有者であり、レコード会社、音楽出版社、配信権を有するディストリビューター、これらデジタル・ディストリビューターを介する独立系アーティストを指します。どのようなシステムになっているのでしょうか? 下のチャートは、Spotifyが使用するロイヤリティ料支払いシステムの概要です。詳細は次のセクションをご覧ください。

総収入の約70%が、Spotifyでの音楽の利用度に応じて権利者に分配されます。

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権利者への分配は約70%です。詳細は下記をご覧ください。

(*) Spotifyや同種のサービス事業者にとって不可避な課金手数料等を控除した後の総収入を指します。

私たちは総収入の70%近くをロイヤリティ料として権利者に支払います。残りの約30%がSpotifyの収益になります:
一般的な例として、レコード会社または音楽出版社はこれらのロイヤリティを、個別契約に応じてアーティストや作家に分配します。

私たちが権利者にロイヤリティを支払う際には、各アーティストに分配するために必要な全ての情報を提示します。

 

ロイヤリティ支払いの詳細

下記の計算方式はSpotifyのロイヤリティ料支払いを説明しています:

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各項目は下記をご覧ください

1. Spotify月間収益

Spotifyの総収入は上記の通り広告収入と有料会員収入で構成されます。この額は国ごとに異なり、ユーザー規模や有料会員の比率、広告の売上高など様々な要因によって変化します。

2. Spotify全体のストリーミング再生回数÷アーティスト単体のストリーミング再生回数

アーティストの人気、いわゆる「マーケット・シェア」を計算します。アーティスト単体のストリーミング再生回数をSpotify全体のストリーミング再生回数で割ることで、アーティストの権利に対していくら支払うべきかのパーセンテージを決定します。

3.原盤権および出版権の保有者へのロイヤリティ支払い

Spotifyはサービスを展開する各国ごとにレコード会社や音楽出版社(または著作権管理団体)とロイヤリティ料を交渉します。現在の私たちの契約では、収入の約70%を原盤権および出版権の保有者に分配することになります(ここには複製権および演奏権を含みます)。正確な分配方法は、Spotifyがサービスを運営する国の法律および権利者との交渉内容によって異なります。例えば、米国法によると、音楽出版社は原盤権者が受け取る額の最大21%を受け取るものとされています。

4. アーティストのロイヤリティ・レート

Spotifyが権利者にストリーミング再生に応じたロイヤリティを支払った後、レコード会社や音楽出版社は各アーティストや作家に対して契約に基づいたロイヤリティを分配します。分配に際しては、アドバンスのリクープ状況などの様々な要素が関係するため、同じレコード会社や音楽出版社であっても、アーティストや作家によっては分配額が異なります。

独立系アーティストはTuneCore(手数料が発生します)などのアグリゲーション・パートナーを介することで、最大100%(前述の手数料がかかります)のロイヤリティ支払いをSpotifyから受け取ることができます。パートナーのリストは、ここでご確認下さい

5. アーティストへの支払い

一般的には、権利者にロイヤリティが支払われ、契約上の分配規程や控除項目などが適用された後に、アーティストや作家に対して最終的な分配が行われます。

 

えっ!Spotifyはストリーミング再生ごとに支払うとばかり思ってたよ…

Spotifyの真の成功は、1)世界中の音楽ファンに有料の音楽消費の価値を再び理解してもらうこと(海賊行為を行う何百万もの人々を収益性の高い私たちのプラットフォームに移行させる)、および2)価値の高い消費形態にユーザーを転換し有料会員を拡大することで、音楽への消費総額を増加すること(YouTubeやその他のフリーサービスからSpotifyに移行させる)の進展度合い計られます。

Spotifyで誰かが音楽を聴くことにより支払いが生じますが、Spotifyでは固定の『再生単価』をもってロイヤリティを算出しているわけではありません。世間ではロイヤリティ・レートについて色々と議論がされているようですが、私たちは、ユーザー規模の拡大によって権利者への支払いを大幅に拡大してきました。そして今後もこの額は拡大していくでしょう。

権利者が受け取るロイヤリティは、上記の計算方式をベースに各国ごとに算出され、この計算方式には様々な条件が左右します。もちろん、再生回数を個別のロイヤリティ料で分割して、再生単価の実効レートを逆算することも可能です。しかし、それは私たちのやり方ではありませんし、Spotifyがアーティストにもたらす価値を反映するものでもありません。

一般的には、権利者への支払いは以下の条件が左右します:

•どの国でストリーミング再生されたか
•全ユーザー数における有料会員数の割合;パーセンテージが高いほど、再生単価も高くなる
•プレミアム・プランの価格と国ごとの為替レート
•権利者のロイヤリティ・レート

現在、上記の条件による平均的な再生単価は0.006ドルから0.0084ドルとなっています。この平均額は全てのプランを網羅して算出されたものです。プレミアム・プラン会員からもたらされるロイヤリティ額はこれよりも大幅に高い額になっています。

繰り返しになりますが、アーティストに対するSpotifyの価値を表すうえで「再生単価」は幾つかの理由から不完全な指標だと考えています。まず、ユーザー人口の増大につれ、特定月における再生回数は前月よりも多くなるかもしれません(それは 再生単価の実効レートの低下を招くことになります)。一方で、これは権利者へのロイヤリティ総額の拡大を意味します。他のサブスクリプション型音楽サービスと同様に、私たちが目指す第一のゴールは有料会員を増やし、これを維持することであり、より多くのロイヤリティを音楽のクリエイターに還元することです。

理論上、音楽をあまり聴かないリスナーを多く抱えることで再生単価の実効レートを上げることは可能でしょう。しかし、私たちは、世界の音楽ファンが合法的に有料な仕組みの中で今まで以上に音楽を楽しめるようにすることが、私たちのサービスとアーティストの生活の双方にとってべストであると考えています。

支払い実績

 

実際にはどのように支払われるのでしょうか?下記のチャートは、2013年7月度における実際のロイヤリティ支払いを示しています。なお、わかりやすくするためにアーティスト名をアルバム規模に置き換えています。

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このチャートは2013年7月度における実際のロイヤリティを匿名で示したものです。

グリーンのバーとドル額は、7月度において特定のアルバムに関する権利者に支払われたロイヤリティの総額です。現在Spotifyでのトップ・アルバムに対する月間ロイヤリティは40万ドルを上回っています。

現在でも何百万ドルという額のロイヤリティを毎年トップ・アーティストに関する権利者に支払っていますが、今後ユーザー規模が拡大するほど、権利者への分配は拡大していくと予想しています。下記のチャートは現在の成長軌道をベースに、将来的なロイヤリティ額を推測したものです。

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このチャートは2013年7月度の実際のロイヤリティ額と、Spotifyが最も成熟した市場と同じ規模に成長した場合に権利者に支払われるであろうロイヤリティ額を比較したものです。

急激に増加するロイヤリティの支払い総額は、個別の権利者への支払いの増加にもつながっています。下記のグラフは、過去2年間にトップアーティスト(名前は伏せています)に関する権利者へ実際に支払われたロイヤリティ額と、今後2年間のロイヤリティ推定額です。過去12カ月において私たちは年間300万ドル以上をこのアーティストに関する権利者に支払いました。そして来年には、私たちはこのアーティストや同規模のアーチストに関する権利者への支払総額は年間600万ドル以上になると予想しています。なお、このアーティストは2013年にSpotifyで最も聴かれたアーティストではありません。また、2013年だけで300万ドル以上が支払われたケースも複数存在します。

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このチャートは、ロイヤリティ支払いの拡大推移を示しています。これらは実際にSpotifyがトップ・アーティストに関する権利者に支払った額と、現在の成長速度を維持した場合に同じアーティストへ将来支払うであろうロイヤリティ料の想定額です。

 

Spotifyとその他のサービスとの比較

 

Spotifyは音楽で収益を上げる最も効率的な方法の1つです。消費者に音楽への支払いを再び促すだけでなく、Spotifyの支払いレートはその他のサービスよりも高く設定されていると言えます。

下記のチャートは、Spotifyが再生回数100万回につき権利者に支払うロイヤリティ額です:

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チャートは再生回数100万回ごとにSpotifyとその他のサービスが支払うロイヤリティ総額を示したものです。

 

ロイヤリティの支払いにおいてSpotifyは、(広告収入が主体の)人気動画サービスの2倍以上の額を権利者に支払っており、またオンライン・ラジオや地上波ラジオ放送よりも大きな額を支払っています。

Spotifyは現在でも比較的小規模なサービスで、世界でもユーザーはわずか2400万人しかいません。一方でYouTubeには数10億人、iTunesには5億7500万人のユーザーがいますが、そのうち7500万人しか音楽にお金を支払っていません。Spotifyがこれらのサービスに比べてほんの少しのユーザー規模(例えばユーザー数1億4000万人、有料会員数4000万人)に成長できれば、私たちのロイヤリティの支払い額は現在の5倍に拡大するでしょう。

他社サービスに比べ 大幅に高いSpotifyのロイヤリティ還元が意味するのは、もし仮に全てのストリーミング再生(動画やラジオの視聴)がSpotifyで行われたとするならば、米国で生み出されるロイヤリティは2013年時点で5億3000万ドル(全ストリーミングサービスからのロイヤリティ料)ではなく、その2倍以上である13億ドル(全ストリーミング再生がSpotifyで行われた場合)に達したであろうということです。

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Spotifyの違法ダウンロードへのインパクト

Spotifyは違法ダウンロードを撲滅するため、ゼロから設計されています。The Pirate Bayの本拠地であるスウェーデンで創業した時、私たちは違法ダウンロードよりも良いサービスを開発できれば、消費者の違法なファイル共有行為を止めさせ、再び合法的に音楽を消費させられると信じていました。

カギとなるのは、Spotifyがフリープランを用意していることです。フリープランを提供することで、Spotifyは違法ダウンロードにコスト面で対抗することができ、音楽消費者に合法的なフレームワークを提供します。そこからSpotifyはフリーユーザーをプレミアム会員へと転換していきます。

この『フリーで合法なオプションを提供すれば、違法ダウンロードが減る』持論は、Spotifyがサービス提供する国での違法ダウンロードの大幅な減少が示すとおり、過去5年に渡り実証されてきました。

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このチャートは、違法ダウンロードに代わってフリーで合法なオプションを選んだ年齢層のパーセンテージを示しています。出典:Columbia University Copyright Infringement and Enforcement in the US

上のチャートでは、現代の音楽業界が直面する重大な課題を示しています。若い消費者やティーネージャーは最も海賊行為を行う年齢層であり、また音楽サービスにはお金を使いたがりませんでした。Spotifyは若者層の海賊行為を減少させ、合法的なサービスの利用そして課金へ移行させることに成功してきました。Spotify有料会員の50%以上は29歳以下です。

Spotifyがどのように実社会で海賊行為撲滅に影響を与えてきたのでしょうか? これまでにSpotifyやその他の合法的なサービスの海賊行為に対する影響について、独自の団体がまとめられたレポートが公開されてきました。下はそのレポートの調査結果と、オリジナルデータへのリンクです(幾つかのレポートは英語版が出版されていません):

スウェーデン

スウェーデンではレポート「Music Sweden: File Sharing & Download, 2011 Q2」において、2009年から2011年の間に違法ダウンロード行為をしていたユーザー数は25%減少したと発表しています。

デンマーク

2013年には、デンマークのIFPIは「Streaming services are a pirate killer」(ストリーミングサービスは海賊行為キラー)という題の調査結果を発表、その中では過去に違法ダウンロード行為を行っていたユーザーの48%が合法的なストリーミングサービスを利用しており、その内81%は完全に違法ダウンロード行為を止めたと発言していると述べています。

ノルウェー

1人あたりのデジタル収益が世界で最も高いノルウェーでは、調査会社IPSOSのレポートによれば、2008年には違法にコピーされた楽曲は12億曲にも上っていましたが、2012年にはわずか4年で5分の1に値する2億1000万曲にまで激減したことが分かりました。

米国

米国では、Sandvineが発表したレポート「Global Internet Phenomena Report」で、北米全体におけるデイリーでのインターネットトラフィックからP2Pファイル共有サービスが10%以下に減少したことを提示しています。レポートはまた、「ファイル共有は引き続き固定回線ネットワーク上から消滅しており、Spotifyなどリアルタイム・エンターテイメント・サービスがリーズナブルな価格帯で豊富なコンテンツを有料会員向けに提供していると述べています。

英国

英国の規制機関Ofconは2013年9月にレポート「Copyright Infringement Tracker, Wave 4」を発表しました。その中で、全デジタル音楽消費者の中で4分の3は合法のサービスのみを利用しており、7分の1が違法サービスのみを利用、8分の1が両方を使っていることが明らかになりました。

オランダ

2013年8月、Spotifyはオランダで独自の「Adventures in the Netherlands」(オランダでの冒険)という研究結果を発表、その中で違法ダウンロード行為が下降傾向にあることをレポートしており、海賊行為の50%以上は違法ダウンロードを行うユーザーの10%にまで減少しているロングテール効果が見られ、また違法ダウンロードを行ったユーザーの半数が年間でダウンロードしたファイル数は3ファイル以下に低減したことが明らかになります。

 

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(Jay Kogami)

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