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もっとレーベルの声を聞いてみたい

ニューヨークのインディ・レーベル、「マタドール・レコード (Matador Records)」の創設者クリス・ロンバルディ(Chris Lombardi)とパブリシティ兼アーティスト・リエゾン・ディレクターのニルス・ バーンスタイン(Nils Bernstein)は、オスロで開催された国際的な音楽ビジネス業界人が集まる音楽イベント「By:Larmカンファレンス」に2月28日出演し、現在のインディーズ・シーンを取り巻くトレンドや、音楽ストリーミングについて語りました。

ロンバルディはまた、「音楽ストリーミングサービスが我々の未来だ」と述べています。1リスナーとして、音楽ストリーミングが提供する2000万曲の膨大な楽曲カタログの規模は少し圧倒されてしまいがちだが、解決策はもうすぐ登場するとも語っています。

フィルタリングが将来的には解決策になると思う。例えばレーベル、編集機能を持つブランド、人が強い関心を示す音楽シーンといったブランドがその機能を果たすだろう。リスナーが音楽を見つけるためにそれらの魔法が助けてくれると思う。人々の毎日の生活に大きく溶け込むだろう。

バーンスタインはストリーミングとダウンロードを比較して、

南米ではiTunesの歴史がまだ深くありません。そのような国では音楽ストリーミングが市場をリードし始めています。いずれ音楽ストリーミングはデジタルダウンロードの売上を超えるでしょう。従って人々はデジタル購入する前にストリーミング再生する生活習慣に変わるでしょう。人々はフィジカルな音楽の違法ダウンロードからストリーミングへと移行するため、最も打撃を受けるのはiTunesでしょう

と答えています。

ロンバルディは人々がツイートが人々の音楽やバンドと出会うキッカケになるなどソーシャルメディアの可能性を評価する一方で、デジタル時代のマイナス面に苦言を呈します。

ロック・ジャーナリズム、音楽ジャーナリズムが大きく失われた。人々はもう深い情報を求めようとはしない。そして大量のノイズが増えた。音楽を大切にし、特別な意味合いを持たせ、アーティストに注目させる。このことを忘れては行けない

アナログレコードの成長

またマタドール・レコードにおける長年のビジネスで変わったこととして、年間にリリースするアルバム数がピーク時の28-30枚から12,13枚へと減ったことを挙げ、その中においてアナログレコードでのリリースが増えたとも述べました。

ロンバルディはデラックス・ボックスセットなどの需要が高まった一方で、この流れがアナログレコード人気の全体像を象徴しているわけではないと述べます。

アナログレコードが普及し注目を浴びる中、人々はより安価な商品を求め始めています。リアルなモノを手にしたいと感じています。中にはデラックス仕様のボックスセットを手に入れたいと思いいくらでもお金を費やすスーパーファンも存在します。しかし普通の人は単に何かを手にしたいだけだ。なので我々はその人用にレギュラー仕様のハードカバーのリリースも用意しています

バーンスタインは現代においてバンドが重要視するポイントが変化したことを指摘します。

今の時代、バンドにとってファンを獲得することが売上を出すことよりも重要だ。5000人が聴いたことあるバンドになるよりも、100万人が無料の楽曲をダウンロードするバンドになるべきだ。だから音楽を届けるためにはどんな手段でも使いバンドを積極的に巻き込んだほうがいい

マタドール・レコードは1989年の設立以来、これまでInterpol、ベル・アンド・セバスチャン、Pavement、Queens of the Stone Age、ヨ・ラ・テンゴ、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン、MOGWAIなど著名なインディーズロックバンドの作品を数多くリリースしてきた実績があります。ですので、音楽業界内ではコンスタントに、そして継続的にアーティストを支援してきた歴史を持ちます。

また、CDやiTunes、音楽ストリーミングと変化し続ける音楽配信の時代全てにおいて作品をリリースし続け、その度に業界の流れに対応しつつインディーズのやり方を変えずにビジネスを続けています。

今、音楽業界はデジタル化が世界的に広まり、レコード会社の役割や価値が変化しています。その中でもただ新しいテクノロジーの登場に過渡な期待や危険を議論する前に、これまで実績を上げ今も業績を残しているレコード会社の意見や考えを共有する機会や場を作ることも、デジタル化する音楽ビジネスでは同時に行っていかなければならないと感じました。その議論の場が日本よりも規模が極端に小さいがデジタル音楽が普及しているノルウェーの地で開催されていることに、この国の音楽産業の努力を感じます。

ソース
Matador Records: ‘Streaming is the future for us’ (#bylarm)(2/28 Musically)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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