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1月に開始した定額制音楽サービス「Beats Music」は、無料お試し期間を利用したトライアルユーザーの70%以上を有料会員として獲得しているという驚異的なユーザー獲得データがBloombergによって明らかになりました。

Bloombergは事情に詳しい複数の匿名関係者からの情報によれば、Beats Musicはサービス開始後、1日1千人ほどの有料会員を獲得することに成功。1月31日から始まったサービスの無料お試し期間に登録したユーザーの内、70%以上を有料会員として獲得したそうです。ユーザーデータは2月に投資家向けに提供されたデータだそうです。1月21日に正式ローンチしたBeats Musicは、月額9.99ドルの定額制プランのみを提供しています。また米国最大のモバイルキャリアAT&Tと提携で合意し、AT&Tユーザーには30日、家族向けには90日の無料お試し期間を設けています。

サービス形態が違うので音楽サービス同士を比較することは非常に難しく、あまり意味を持ちませんが、参考までに別サービスの数字を紹介します。米国で最大のネットラジオPandoraはアクティブリスナー数が7000万人以上を獲得していますが、この中で有料プランを利用するユーザーはわずか250万人で、割合がたったの3.6%と極端に少ない結果になっているのが現状です。

もしBeats Musicのユーザー獲得が順調であれば、有料のみの定額制音楽サービスに対してのニーズが今後も可能性として広がります。また一方ではBeats Musicは、高級ヘッドフォンブランド「Beats by Dr.Dre」のブランド力、スーパーボールのテレビCMに著名タレントを起用できるPR戦略と資金力、経営者の音楽業界への深いつながりなど、通常のIT音楽サービスでは実現し得ない規模のマーケティングや関係構築を作り出しています。このことからも、一般層へのリーチと訴求を容易に行え、その結果有料会員獲得に結びついていると想像できます。

ソース
Beats Music turns 7 out of 10 free-trial users to paying ones? (3/20 CNET)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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