ソニーミュージックが、音楽共有プラットフォーム「SoundCloud」から楽曲を削除しています。ビルボードによれば、ソニーミュージックとSoundCloudの両社間で配信に関する契約問題で合意できず、交渉は決裂し、ソニーミュージック側が楽曲を削除する結果になった模様です。
交渉では楽曲配信を行う見返りとして、ソニーミュージックに収益化のためのオプションを十分にSoundCloudが提示できなかったと見られています。
アデル、ケリー・クラークソン、Passion Pit、Miguel、Hozier、MS MRなど、ソニーミュージック所属またはソニーミュージックが配信するアーティスト数組がすでにSoundCloudでの配信を取り下げています。
今後どのアーティストがどのタイミングで楽曲を削除するかはまったく不明ですが、ソニーミュージックが抱えるレーベルの数を考えると、SoundCloudを音源ソースにしているサイトやブログ、また音楽ファンにとっては大きなダメージとなります。
SoundCloudはこれまで同社が昨夏に開始した広告マネタイゼーション・プログラムによってパートナーに支払った金額は2000万ドルを超えることを公表してきました。マネタイゼーション・プログラムには100以上のパートナーが参加しています。
SoundCloudでは、曲が再生される前に広告の小さなポップアップやオーディオ広告が流れる仕組みを開始しました。しかし、未だにその数は多くないため、レーベルと分配する収益が十分に確保できていないと考えられます。またSoundCloudは著作権侵害の対象となるトラックをスキャンするための取り組みにもチカラを入れており、レーベルが収益化のチャンスを最大化するための努力を見せています。しかし、これらの動きでもレーベル側にとっては十分な収益源として可能性を感じられなかったことから今回の決断に至ったようです。
SoundCloudは無料で音楽を聴いたり共有できるサービスとして月間ユーザー3億5000万人以上を集めています。これまで新人アーティストたちが楽曲を発表し、音楽ブログや音楽メディアによってピックアップされる発掘の場として重要な役割を果たし、グラミー賞を受賞したロードなどもSoundCloudで楽曲を発表したことからメジャーレーベルとつながるキッカケを掴みました。また近年ではドレイクやビヨンセなど有名アーティストの活用が盛んで、新曲をプロモーション無しで突如発表するプラットフォームに使われています。
SoundCloudにとってレーベルがプラットフォームで楽曲を配信することは、リスナー数を増やすための要因の一つであり、広告を含む収益化は成長していくために必要不可欠なほど重要になっています。その一方で、SoundCloudの強みでもある「コミュニティ性」は必ずしも有名アーティストの影響力に左右されること無く、成長してきた背景があり、広告戦略がインディーズアーティストやDIYアーティストたちにとってどのような影響をあたえるのかも注目です。
ソース
Sony pulls music from SoundCloud over money dispute(The Verge)