定額制音楽ストリーミングサービス「Spotify」のCEOダニエル・エク(Daniel Ek)は、Apple Musicが6月に登場して以来、ユーザーが増え続けていると興味深い事実を初めて語りました。
エクはトロントで開催されたRogers Communicationsのイベントで、Spotifyがこれまでにない勢いでリスナーを増やしていることを明らかにしました。エクはユーザーの数字は公表しませんでしたが、「アップルは私たちが10年前から主張してきた考えを正当だと認めた。世界はストリーミングに向かっている。私たちは毎週のように記録を塗り替えている」と答えたことから、Spotifyに対抗するアップルのサービスであるApple Musicの登場が逆にSpotifyへのユーザー流入につながるという予想を覆す結果のようです。
エクはSpotifyの成長において、モバイルキャリアとの提携は、必要不可欠だとも答えています。現在世界で約40社のモバイルキャリアと契約しているともエクは明らかにしています。
Rogers CEO Guy Laurence and Spotify CEO Daniel Ek are in Toronto talking about partnerships and music growth. pic.twitter.com/eBKQoZCs4V
— Daniel Bader (@journeydan) September 14, 2015
「定額制音楽配信」の分野ではSpotifyは、世界58カ国にサービスを展開して、アクティブユーザー数7500万人、有料会員数2000万人を抱える、世界最大のサービスです。無料サービスまたは月額10ドルの有料サービスを使えば、ユーザーにはいつでもどこでも3000万曲以上の楽曲や15億個以上のプレイリストにアクセスが出来る、これまでにない規模でコンテンツを届けます。Spotifyのビジネスはユーザーからの課金と広告からの収益をアーティストやレーベルに分配するモデルを取っているため、世界中でユーザーが拡大すれば、その分ビジネスも拡大し、ロイヤリティ支払いも増加していくシステムです。
世界最大の音楽ストアを運営するアップルとの大きな差は、Spotifyには無料オプションを用意している一方で、Apple Musicは有料のみで運営するという異なる「サブスクリプション」ビジネスモデルを進めています。両社はまたストリーミングのみのSpotifyと、ストリーミング+ダウンロード+ラジオが連携するApple Musicと提供するサービスも全く違ってきます。
世界の音楽ストリーミングユーザー数は、SpotifyやApple Music、Deezerなどの成長に伴って年々増加し、減少するCDやデジタルダウンロードを補完する新たなビジネスとして業界からも注目を集めています。
ソース
Apple Music Is Boosting Spotify, Not Crushing It, Says CEO Daniel Ek(Fast Company)
Apple Music Is No ‘Spotify Killer’(Bloomberg)