IPOを発表したばかりの定額制音楽ストリーミングサービス「Spotify」。

そのヒップホップ部門グローバルヘッドで、Spotifyで最も人気あるプレイリスト「RapCaviar」のキュレーターであるツマ・バサ(Tuma Basa)が同社を退職すると報じられました。

Spotifyが推進してきた「プレイリスト戦略」の立役者の一人であるバサの次のチャレンジがどの企業になるかが気になるところです。

約900万人にフォローされる人気のRapCaviarプレイリストは継続して更新していくことと、RapCaviarを軸にしたライブ・ネイションとの共同ライブイベントツアーも継続させることをSpotifyは予定しています。

Spotify以前、バサはケーブルテレビネットワーク「REVOLT TV」の音楽プログラム担当副社長や、「MTV」で音楽関係の役職を歴任してきました。

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プレイリストが音楽との出会いのカギ

先日SpotifyがSECに提出したIPOに関する資料の中でも、同社は他社と差別化要因として「プレイリスト」を挙げるほど、音楽との出会いを促進させるツールとしてのプレイリストの活用にSpotifyは注力しています。

Spotify全体でのリスニングでは、31%がプレイリストで行われているとSpotifyは資料で公表しています。

プレイリストを大きく分類すると、音楽アルゴリズムを軸にリスナーの好みに併せて自動でプレイリストを生成する「Discover Weekly」や「Daily Mix」「Release Radar」と、「RapCaviar」や「Viva Ratino」など人間のキュレーターチームによってキュレーションされるプレイリストの2パターンに分かれ、この他にユーザーやブランドが各自キュレーションするプレイリストが数多く存在しています。

Form F-1

プレイリストは、アーティストやクリエイターにとっても価値を提供し始めています。

Spotifyではプレイリストを通じて新作や新人アーティストをユーザーへとプッシュして露出機会を拡大させてきました。

こうしたプレイリストからのアプローチは、ユーザー拡大に併せて蓄積されるデータと選曲アルゴリズムによって、パーソナル化したプレイリストの洗練度合いがますます高まり、ユーザーの好みに合わせた楽曲の提供へとつながっています。

アーティストやクリエイターはプレイリストの解析も専用ツールで可能になりました。どの曲がどの都市で聴かれるかだけでなく、どのプレイリストで何番目に入ったか、何日入ったか、Spotify内でどれだけ人気かといった詳細なデータを見ることができるため、リリースやライブツアーのプロモーション、さらに特定のプレイリストをターゲットにした傾向予測まで、さまざまな活用方法が実現しています。

こうしたプレイリストの中でも群を抜く人気を誇っていたのが「RapCaviar」。

Tuma BasaはSpotifyだけでなく、音楽ストリーミング時代におけるパイオニア的存在です。

今やApple MusicやAmazon Musicでも重要視されるプレイリストの存在。ここまでに至るまでにプレイリストの存在価値と可能性を拡げ、リスニングの仕組みを変えてきたSpotifyの中でも戦略的、音楽文化的に重要な人物であると言っても大袈裟ではないでしょう。

それほどまでに世界でプレイリストのキュレーターの存在価値と影響力が、音楽カルチャーシーンと音楽市場で欠かせない時代が始まっているのです。

ソース
The curator of Spotify’s RapCaviar playlist is leaving the company (The Verge)

Tuma Basa: Spotify’s Global Programming Head of Hip-Hop (Billboard)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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