デジタル音楽の世界では未だにアップルが勝ち組のようです。調査会社NPD Groupが発表したレポートによれば、米デジタル音楽市場ではiTunesがシェア64%を占め他社を大きくリードしているなど、興味深い調査レポートを公開しています。
NPDの「MusicWatch」と「Music Acquisition Monitor」調査結果では、Appleは米音楽市場における音楽購入においてサービス開始10年が経過した現在でも多大な支配力を握っています。2012年度第2四半期にiTunesは米国デジタル音楽市場でシェア64%を占め、デジタルやCD,アナログを含む小売店ではシェア29%を占める存在であることが明らかになりました。
サービスに基づく調査では、iTunesに次いでAmazon MP3 ストアが16%でデジタル音楽市場のシェア第2位となった。
米デジタル音楽ストア市場シェア (2012年度第2四半期)
1位:Apple (64%)
2位:Amazon MP3 ストア(16%)
3位:Google Play, eMusic, Zune Music Pass, and others (各5%)
Google Play, eMusic, Zuneなどその他の音楽サービスは5%以下を占める結果となった。
「ストリーミングやオンデマンドサービスの利用が増加しているにも関わらず、デジタルダウンロードの市場は成長し続けており、その要因はデスクトップからモバイルに移行していることが挙げられます。Appleは今でもマーケットリーダーで安定したポジションにいます」とNPDアナリスト、ロス・クルプニック(Russ Krupnick)は述べています。
米音楽小売り市場シェア (2012年度第2四半期)
1位:Apple (29%)
2位:Amazon / Amazon MP3 ストア (19%)
3位:ウォールマート (11%)
*デジタルDLとCDアルバムを比較する際、NPDは1アルバムを10デジタル・トラックとして換算しています。
CD・アナログレコードやデジタルダウンロードを含む音楽小売り市場では、Appleは第2四半期でシェア29%を獲得しトップに立った。2位は19%でAmazon / Amazon MP3ストア、3位はウォールマートが11%で続く。
レポートでは、米国でオンラインラジオおよびオンデマンドサービスが、継続して最も成長率の高い音楽サービスとなっている。第2四半期において調査対象のネットユーザーの過半数は無料のネットラジオPandoraを認知しており、また1/3(約33%)はPandoraの有料サービスPandora Oneについても認知していた。
全体の25%は大手クリア・チャンネルのネットラジオサービスiHeartRadioを、また19%はSpotifyを認知しており, Spotifyの数値は同サービスが2011年7月に米国でローンチした時と比較して2倍に拡大している。Pandoraを知っているネットユーザーの半数がサービスを利用しており、また1/4はiHeartRadioやSpotifyを利用したことがあると答えている。
そしてもっとも興味深い調査結果では、iTunesの音楽購入者の内64%がオンラインラジオを聴くと発表しています。クラップニックは「視聴体験がラップトップへのダウンロードから携帯電話やタブレットでのストリーミング再生に移行する中、すでに一体化されたiTunesの音楽体験にストリーミング再生機能を追加して提供しようとすることは当然だと考えます」とコメントしています。
また驚くべき発見としては、2012年度第2四半期(4-6月)のデータとして、欧米で急成長を続ける、聴き放題できる定額制のクラウド型音楽ストリーミングサービスSpotifyのユーザー38%は過去3ヶ月以内に、音楽をダウンロード購入しているとレポートしています。
反対に非Spotifyユーザーで音楽をダウンロード購入した人は半数以下の17%という結果になっています。クラップニックは「過去にさかのぼってSpotifyのデータを示すことができれば、さらに正確な影響を分析することができるでしょう」とコメントします。
聴き放題の音楽サービスは、これまで自分達のサービスが音楽ダウンロードの売上を侵食(カニバライズ)することは無く、市場売上規模の拡大に寄与していると訴えていることから、今回のようなデータは音楽ストリーミング企業の存在価値を後押ししてくれる結果となるので、日本などまだ参入していない市場への参入でパートナー企業を納得させる材料になると思います。
一方では、Spotifyの主なユーザーはアーリーアダプターでコアな音楽好きであり、ストリーミングだけでなくダウンロード、アナログレコード、ライブコンサートなど大抵の音楽形式には肯定的な人たちがSpotifyの積極的なユーザーであり、その中から彼らの音楽購入傾向を比較分析することは、情報に偏見が起きる可能性もあることを客観的に考慮するべきだとも思います。
僕は日本や世界で音楽ファンが増えていくことが大事だと感がていますので、オンラインラジオや音楽ストリーミング等既存の音楽サービス以外で音楽と接点を増やすサービスが拡充することが、リスナー拡大に繋がると強く信じています。相乗効果のポイントを見極め新しいビジネスを構築し、音楽ビジネスが盛り上がり身近に利用できる音楽サービスが多様化し拡大することで、音楽体験が高まることが今後は一層求められると思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。