米国に拠点を置く音楽ストリーミングサービスの「Rhapsody」は、同社が配信する全ての楽曲にデジタル・ライナーノーツを付けることを発表しました。
これはグラミー賞を主催する業界団体である「全米レコーディング芸術科学アカデミー(NARAS)」が開始した「Give Fans the Credit」キャンペーンの一環です。同キャンペーンは、プロデューサー、ソングライター、セッションミュージシャンやエンジニアなど音楽を影から支える音楽スペシャリスト全員のクレジットを表記して功績を讃えると同時に、音楽に関する抱負な情報を提示することでリスナーと新しい音楽の出会いを支援しようとする目的で始まった取り組みです。
以前ならアナログレコードやCDのライナーノーツには、ミュージシャンや制作者のクレジットが表記されるのが普通でした。しかし現状では、多くのデジタル音楽サービスで表記されるクレジットは、「アルバム名」、「曲名」、「アーティスト名」が殆どで、その他のミュージシャンやスタッフの名前が明記されることはありません。
Rhapsodyは「Give Fans the Credit」キャンペーンに賛同した最初のデジタル音楽サービスになります。
今回の取り組みによってRhapsodyのリスナーは、音楽をアルバムやアーティスト名だけでなく、バンドメンバーやプロデューサー、ソングライター等でも検索ができるようになる予定です。
Rhapsodyの社長のジョン・アーウィン(Jon Irwin)は、「Rhapsodyのリスナーは、音楽制作の技術を尊重する熱狂的な音楽ファンで、命を吹き込まれた曲にはどんな人が関わってきたのかに興味を持っている人たちです。完全なクレジットを明記することで、リスナーと好きなアーティストや楽曲とのつながりを益々固いものにしてくれるでしょう。」とコメントしています。
Rhapsodyではクレジットの追加は今後数ヶ月かけて行われる予定です。
音楽サービスがデジタルに移行してから、扱われるコンテンツはデータとなってしまい、ミュージシャンのクレジットの存在は重要視されずにきました。クレジット表記が追加されることで、今までは知らなかったアーティスト情報に触れる機会が増えたり、音楽情報がつながったりすることで、自分の知らない新しい音楽を発掘する可能性が広がります。また音楽を聴く軸が「アーティスト」「アルバム」といったメインパフォーマーだけでなく、サイドメンなどオルタナティブな軸からもサービス内で探すことが出来るのは、デジタルならではの利便性を象徴しています。
ライナーノーツという非常にアナログ的なアプローチですが、(実際に手にとって見れるものではないが)デジタルを完全に補完している可能性や役割を考えると、音楽サービスでも考え方次第で音楽ファンの心をつかむ施策が色々なやり方で実現可能なのだと感じさせてくれます。
こんな風に新しい音楽に出会う時の高揚感が必要なのではないでしょうか?