Appleは6月に開催されたイベントWWDCで、待望の音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」を正式発表しました。 Apple、無料の音楽ストリーミング「iTunes Radio」を発表、今秋から開始

iTunes Radioは無料のネットラジオで、ユーザーの好きなアーティストや楽曲を自動で分析し、似ているテイストの楽曲を自動再生してくれる聴き放題音楽アプリです。

例えばスティービー・ワンダーが好きなユーザーがアーティストステーションを構築したとします。するとiTunes Radioはスティービー・ワンダーに関連するアーティストを自動でレコメンドしてきます。例えばモータウンつながりでマーヴィン・ゲイやジャクソン5であったり、R&Bテイストであればジョン・レジェンドやアリシア・キーズなどコンテンポラリーのアーティストがレコメンドされます。

iTunes Radioはレコメンデーションを通じてユーザーに新しい音楽との出会いを訴求する、ミュージック・ディスカバリー(音楽発見)の要素を提供してくれます。

またiTunes Radioが単なるネットラジオと異なるのは、iTunesと綿密に連携している点。つまり手軽にダウンロード購入できるオンライン音楽ストアと、聴き放題できるパーソナライズド・ネットラジオの機能を兼ね備えたハイブリッド型音楽サービスという形式です。

残念ながら、発表の段階では日本でのサービス開始の目処は経っていません。iOS 7ベータ版では米国のみの展開と発表がありましたが、個人的には大きく注目しているサービスですので、機能をご紹介しておきたいと思います。

iTunes Radioができること

まずiTunes Radioが実現できる機能を簡単にご紹介。ちなみにApple Japanのサイトでは現在(6/28)iOS 7の紹介ページにiTunes Radioの情報を日本語では掲載していません。

■パーソナライズド・ストリーミングラジオ機能:好きなアーティストやジャンル、これまで聴いた楽曲を分析して、個人のテイストに合った音楽を自動でレコメンドしてくれる。ユーザーは音楽ステーションを選ぶだけで、自動で流れてくる音楽が聞き流しができる。

■音楽のパーソナライゼーション:再生中の音楽に「Play More Like This」(いいね)または「Never Play This Song」(嫌い)ボタンをタップし、音楽ステーションを好きな音楽でパーソナライズすることができる。

■Siriで検索

■iTunesでの楽曲購入:iTunes Radioは再生されている楽曲を購入することが可能。画面をタップするだけ。iTunes Radioで聴いた新しい曲や気に入った曲も、即座に自分のコレクションに追加できるので、ミュージックディスカバリー(音楽発見)の機能もここで一元的に実現できます。

ここに加えて、大手メジャーレーベルの楽曲がすでにiTunes Radioでは聴けます。

iTunes Radio機能紹介

こちらがiTunes Radioのホームスクリーンです。iTunes RadioはiOSにデフォルトで搭載されている「Music」アプリから起動させます。Musicアプリをタップすると、下部左側に「iTunes Radio」のアイコンがありますので、そちらをタップすると開始です。

via Apple Insider

iTunes Radioで音楽ステーションを作る基本的な流れです。左から。iTunes Radioの「検索」、「再生」、「音楽ステーション」画面になっています。 「再生」画面の下部ボタンは、左から「Play More Like This」(いいね!(星)、再生/停止、スキップ。

iTunes Radioはストリーミングラジオなので、過去の曲に戻ることができません。再生し続ける音楽を聴き流すスタイルの利用になります。ですので、スキップボタンしかありません。(過去の曲を閲覧は「History」セクションから可能)

iTunes Radioのストリーミング再生での制限は、スキップできる回数。一つの音楽ステーション内で6回スキップをすると、スキップボタンがグレーに変わり機能が止まります。その場合は、別の曲やアーティストで、別の音楽ステーションを立ち上げるとスキップ機能は、新たなステーションでは復活します。

via Apple Insider

再生中の全楽曲には、ダウンロード購入するボタンがついています。ボタンをタップすると「Buy Song」が表示されるので、そこからトラックを購入できます。

画面上部中央の「i」ボタンをクリックすると、再生中の楽曲が含まれるアルバム情報が表示されます。リスナーはそこからiTunesストアにある楽曲をチェックするか、アーティストや気になる楽曲から新しい音楽ステーションを構築することができます。

via Apple Insider「

再生中のオプション画面。左は、Play More Like This」=同じスタイルの曲をもっと聴きたい場合のボタン、「Never Play This Song」=楽曲を二度と聴きたくない場合のボタン、「Add to iTunes Wish List」。上の二つのボタンを使うことで、iTunes Radioがユーザーの音楽の嗜好を分析して、好きと思われる音楽をレコメンドしてくれる。

真ん中はiTunes Radioを再生中のiPhoneロック画面。

右はジャンル別の音楽ステーション。

 

via Apple Insider

現在のベータ版において聞こえる・挿入されている広告は、Appleの「Give The Gift of iTunes」の15秒広告が挿入されています。iOS 7が正式リリースされるころには、異なるブランドの広告が入っていることと思われます。 アプリを開いている場合は、オーディオと上記のバナー広告が表示されます。iPhoneがロックされている状態では、オーディオ広告のみが挿入されます。

iTunes Matchサブスクライバー(年間利用24.99ドル)はこれらの広告が挿入されることはありません(こちらも日本ローンチが待たれる)。iTunes RadioはiTunes Matchユーザーがクラウド上に保存している音楽ファイルもスキャンし、よりパーソナルな音楽ステーションを構築するとのこと。

最後はハンズオン動画をどうぞ。 iTunes Radioは各国のレコード会社および音楽出版会社とアーティストラジオ機能での配信交渉を行なっているため、ローンチまでは時間と労力、そしてライセンス料が必要とされます。ですので、日本でのローンチも現在は未定。この辺りはまた別の機会に詳しく掘り下げて書きたいと思います。

おまけ:Pandora Radio(iPhoneアプリ)との比較。

iTunes Radioで最も良さそうなのが、インターフェースの洗練されたデザイン性です。ここはさすがAppleといったところ。僕もiOS 7を触らせてもらいましたが、色彩やグラデーションがポップなイメージで、使っていて楽しくさせてくれるデザインでした。この中でデフォルトで動作するiTunes Radioは他のアプリと比較してデザインやインターフェースから生まれる操作性は差別化要因になるのではないでしょうか?

ということで、簡単にiTunes Radioの最大の競合の「Pandora Radio」iPhoneアプリ版からスクリーンショットで比較してみました。上記にもある「LCD SOundsystem」の音楽ステーションを構築してみました。(1曲目のすぐ後に30秒の動画広告が流れました。iTunes Radioにはここまで露骨にならないことを祈りたいです)。楽曲のレコメンデーションの精度など実際に使ってみないと判断出来ませんが、みなさんならどちらのサービスを選びますか?

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今後もアップデートを随時チェックして行きますので、ご期待ください。

ソース
Inside iOS 7: Apple puts Pandora on notice with iTunes Radio(6/11 Apple Insider)
Hands-on with iTunes Radio, Apple’s streaming music service [Video](6/11 9to5mac)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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