数多くのインディーズアーティストや無名アーティストを取り上げる、情報感度の高い音楽ブログをまとめる音楽ブログ・アグリゲーション・サイト「Hype Machine」が、音楽ブロガーの中で最も言及されたアーティストなどのランキング「Hype Machine Music Blog Zeitgeist」を発表しました。

これはHype Machineがまとめる音楽ブログ820個以上から、1年でブロガーが記事にしたアーティストや楽曲をデータ化したランキングです。

Hype Machineはスタッフが新鮮な音楽を紹介している音楽ブログを選び、サイトで一元的に表示しています。多くの音楽ファンにとっては新しい音楽を知るための貴重なサイトであり、とくにインディーズアーティストの楽曲においては、世界有数の情報を誇ります。

Hype Machine Music Blog Zeitgeist 2013

Hype Machineが発表したMusic Blog Zeitgeistリストは2つ。1つ目は「Top 50 Artists」、2つ目は「Top 50 Tracks」。リストでは各アーティストのトラックが視聴可能になっています。またリストには、Tumblrで有名な17歳のイラストレーターSéamus Gallagherが描いた各アーティストのイラストが付いています。

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今年音楽ブロガーの中で最も記事化されたアーティストは、イギリスのエレクトロニック・アーティスト「Disclosure」。デビュー・アルバム「Settle」が高い評価を受け、イギリスのアルバム・チャートで1位を獲得するなど、人気に火が付いた兄弟デュオですが、音楽ブロガーの間でも話題になっていたことがランキングでも読み取れます。

2位はChvches、3位はPhoenix、ジェイムス・ブレイク (James Blake) が4位, Haimが5位に入っています。

面白いことに、トップ5の内4位までは全てヨーロッパのアーティストで、トップ10を見渡してもアメリカ出身アーティストはHaimだけで、その他は英国(Disclosure, Chvrches, James Blake, Daughter, London Grammar、AlunaGeorge)、フランス(Phoenix, Daft Punk)、オーストラリア(Jagwar Ma)と圧倒的にイギリスの音楽が支持されていることが分かります。

Hype MachineはMusic Blog Zeitgeistを2007年から毎年発表しています。過去のリストはこちら(200720082009201020112012)ご覧ください。

Mixes featuring the Most Blogged   Loved Tracks of 2013   The Hype Machine

トップ50はこちら
1. Disclosure
2. Chvrches
3. Phoenix
4. James Blake
5. Haim
6. Daft Punk
7. London Grammar
8. AlunaGeorge
9. Daughter
10. Jagwar Ma
11. Banks
12. Justin Timberlake
13. Youth Lagoon
14. Toro y Moi
15. Local Natives
16. MS MR
17. Lorde
18. Lana Del Rey
19. Drake
20. The xx
21. Flume
22. Classixx
23. Gold Panda
24. MØ
25. Haerts
26. Grizzly Bear
27. Foals
28. Cut Copy
29. Say Lou Lou
30. Poliça
31. Active Child
32. Young Galaxy
33. Four Tet
34. Empire of the Sun
35. Mount Kimbie
36. The Strokes
37. Junip
38. Jon Hopkins
39. Keep Shelly in Athens
40. Miguel
41. Chromeo
42. Bondax
43. Rhye
44. Ellie Goulding
45. Parquet Courts
46. The 1975
47. Kendrick Lamar
48. Goldroom
49. Gems
50. Trails and Ways

音楽ブログは世界的に、注目アーティストをいち早く見つけ知ることが出来るため、マニアックな音楽ファンにとってはミュージックディスカバリーのためのメディアになっています。ローリングストーンやNMEなど大手音楽メディアではフィーチャーしない無名のアーティストや、ローカルのアーティスト、ニッチなジャンルを音楽ブロガーはこぞって誰よりも先に取り上げようとしているため、重要な情報源として需要が高く、存在価値が拡大してきている傾向になります。

例えばBanksやMØ, Say Lou Louなどはまだデビュー・アルバムもリリースしていない、ほとんど無名に近いアーティストですが、ブロガーの間では実績あるアーティストよりも多く話題になっています。しかしブロガーという自由な形式であれば、書き手は冒険心を持って、いいと思ったものを表現したい形で紹介することができます。なんでも取り上げられるスタイルのブログが、インディーズシーンの情報開拓には向いているスタイルなのです。

音楽業界の新世代? ワーナー・ブラザース・レコード、新A&Rディレクターは元カリスマ音楽ブロガー

Spotifyのようにミュージックディスカバリー機能を搭載したデジタル音楽サービスが数多く出現する中、人が新しい音楽と出会う手段は確実に高まります。しかし、音楽ブロガーのようにまだ誰も注目しないアーティストを自由に紹介するヒューマンなアプローチも益々重要になっていくでしょう。

ソース
Zeitgeist 2013: Most-blogged Artists and Tracks of the Year(12/13 Hype Machine)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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