クリエイティブなプロジェクトを数多く打ち出すヒップホップ・クルー「Odd Future」の創立者のあるアーティスト、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, The Creator)がメディアビジネスのプロジェクトを新たに発表しました。
「Golf Media」はiOSとAndroidで利用できるアプリで、音楽の他にライブストリーミング、ラジオ、ツアー情報、オリジナル・コンテンツなどを配信するオンライン・メディアです。Golf Mediaの情報は「Golfwang.com」で更新されていきます。
またタイラー・ザ・クリエイターは今後オンライン・メディアと並行して雑誌「Golf Magazine」も発行することを明らかにしました。
タイラー・ザ・クリエイターやOdd Futureのマネージャーを努める4 Strikes Managementのクリスチャン・クランシー(Christian Clancy)は、Golf Mediaを次のように表現しています。
このプロジェクトは、オリジナルで、キュレーションされたいろいろなコンテンツの集まりで、常に変化する。オリジナル・シリーズ、コンテンツ、ライブストリーミング、ラジオ、ツアー情報、golf wang(OFWGKTAを示す単語)、インタラクティブ、その他の少しうざくてマーケティングっぽい『バズワード』が詰まってる。
アプリは日本からもダウンロードが可能。コンテンツを見るには、月額4.99ドルのサブスクリプション制に登録が必要。「golfwang.com」から登録すれば、2ヶ月分のコンテンツと「Golf Magazine」創刊号はフリーで入手できます。
カリフォルニアで開催中の大型野外フェスティバル「コーチェラ・フェスティバル」初日に出演するタイラー・ザ・クリエイターも、「アプリで何かいいことが起きる」とInstagramに投稿しています。
タイラー・ザ・クリエイターは4月13日に新アルバム「Cherry Bomb」をリリース予定。11日のコーチェラ・フェスティバル出演後は、9月まで世界ツアーを行います。9月13日には待望に日本公演も予定されています。
タイラー・ザ・クリエイターやOdd Futureの狙いは端的です。それは、アーティスト活動をコンテンツに仕立てあげて、メディア化を図り、その先にファンとのコミュニケーションやコミュニティ育成、マネタイゼーションにまで狙いを定めていると思えます。またこのプラットフォームが成功すれば、同じスキームをOdd Futureのメンバーや、将来的にプロデュースするアーティスト達にも適応させることも可能になります。SNSが広くマスにリーチするためのツールとするなら、メディア=アプリはコアファンに届けるためのツール。この両軸を持ちながら活動できるクリエイターやアーティスト、レーベルは今後生き残る可能性が高くなるでしょう。
このアプリの開発には、元Yahoo!やABCで重役を務めたLloyd Braun率いるWhalerock Digital Mediaが参加している点も、アーティストのメディア化する流れに合致しています。
タイラー・ザ・クリエイターの他にも、独自サイトやアプリでコンテンツを配信している、インディーズアーティストは現在増えています。エレクトロニック・アーティストのDeadmau5やNicolas Jaarは自身のアプリやサイトとサブスクリプション制モデルを組み合わせて、ファンに向けてコンテンツ販売を直接手掛けています。ジェイ・Zが手掛ける定額制音楽ストリーミングサービスTidalのエクスクルーシブ配信も業界に賑わせていますが、SNSの次のフェーズとしてアーティストの独自コンテンツ配信をメディア化する動きも、今年は増えていく予感がします。
ソース
Exclusive: Tyler, The Creator’s Manager Details Golf Media App, Available Now(4/8 Fader)