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アナログレコードの人気が世界的に復活し、販売枚数が毎年伸びているニュースは、音楽業界に明るい話題をもたらしています。この勢いは音楽業界とは関係のなかったビジネスまでに伝播して、一般消費者向けの店舗でのアナログ販売という形で広がり始めています。

3月21日からイギリス第2位のスーパーマーケット「Sainsbury」が、店内でアナログレコードの販売を開始することが発表されました。

イギリス国内にあるSainsbury1200店舗の171店では、ザ・スミスの「クイーン・イズ・デッド」からレッド・ツェッペリンの「IV」、アデルの「25」などクラシックから最新作までを取り揃えます。その他にもエイミー・ワインハウスやデヴィッド・ボウイ、ボブ・マーリー、ストーン・ローゼズ、ビートルズ、ニルヴァーナ、イーグルスなど名作を取り扱う予定です。

Sainsburyが販売するアナログレコードの価格帯は12ポンドから20ポンド。日本円で1900円から3200円と、日本のレコード店の価格よりもやや控えめな印象。Sainsburyはアナログレコードを80年代に発売していた歴史があり、アナログ人気に対する昨今の復権の波を受けての販売復活となります。

すでに2015年12月にイギリス最大のスーパーマーケット「Tesco」が、約40店舗内でのアナログレコード販売を開始しました。またイギリス最大のエンターテイメント小売店「HMV」も2015年夏からアナログレコードの店舗販売を復活させました。

Sainsburyの音楽および書籍部門責任者ピート・セルビー(Pete Selby)は、アナログレコードの店舗内販売は一時的な流行への目新しさではなく、長期的な店舗運営を視野に入れて、既存の音楽販売を強化するものと説明します。

アナログレコードは例年需要が拡大し続け間違いなく復活を遂げています。私達は感情面までを捉えるこのフォーマットと再びつながりたいお客様たちにアナログ購入体験を簡単に楽しく届けていくことを目指しています

2015年、イギリスの音楽業界ではLPアナログレコードが過去21年で最大の売上枚数を記録、2014年から64%増加して210万枚以上を売り上げました。一方でCDアルバムの売上枚数は未だにシェア66%と高い数字を維持しましたが、前年比3.6%減少し毎年の減少傾向は続いています。

アナログレコード復活の大きな要因は、アメリカやイギリス、日本を含む世界各地で毎年4月に開催されるレコードストアとアナログレコードのイベント「レコード・ストア・デイ」によるグラスルーツ的な認知拡大活動と、再盤やボックス・セットなどイベント当日にレコードストアでしか買えない限定リリース販売によるものが大きく寄与しています。

一方、アナログレコードの販売チャネルも、レコードストア以外に広がっており、販売枚数増加に貢献しています。Tescoなどのスーパーマーケットのほかにも、アメリカでセレクトショップ的なテイストを売りにする衣料チェーン「Urban Outfitters」や、書店チェーンの「Barnes & Noble」もアナログ販売を手がけており、レコードストア以外の場所でアナログを購入する機会が拡大しているのがビジネストレンドとなっています。

ソース
Vinyl Boom Shows No Sign of Slowing as U.K.’s Second Biggest Supermarket Starts Selling Records(Billboard)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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