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欧米で人気の音楽ストリーミングサービス「Spotify」が、大手レコード会社とライセンス料の支払い更新について近く再交渉する予定です。またSpotifyはこの交渉で、モバイルユーザーがスマホでも無料で聴き放題ができる契約で合意したいと考えているようです。

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米メディアThe Vergeによれば、Spotifyはすでにワーナーミュージックと交渉を開始しており、ソニー・ミュージックとユニバーサルミュージックとも近く交渉を開始すると伝えています。今回の交渉での議論の中心は将来の利益性にしぼられそうです。Spotifyとしては、支払うライセンス料の引き下げを要求したいとともに、モバイルサービスでの無料聴き放題にレコード会社から同意を得たいと考えているようです。モバイルでの配信に合意が得られるならSpotifyは他社を大きく引き離せる可能性があります。

複数の情報ソースの情報によれば、Spotifyのビジネスの現状はまだ厳しいと言わざるを得ません。なぜならSpotifyが競合する音楽サービスは、アップル、グーグル、ソニー、Amazon、サムスンなど大手企業(+金持ち企業)です。会員2000万人、有料会員500万人と他社をはるかに超えるユーザー数をすでに持つSpotifyですが、現在のビジネスではまだまだ業界の大手とファイナンスの面で競うことは難しいと言えます。

財務上の現状を裏付ける情報としてThe Vergeは、Spotifyは収益の70%をライセンス料の支払いに費やしていることを挙げています。20%は新規会員獲得のための取り組み、10%が音楽プラットフォームなどを含む運営費用となっており、そのため、Spotifyのコスト構造では利益がゼロになっているのが現状です。

ポジティブなニュースとしては、Spotifyの企業価値は高まる一方で、その証拠にSpotifyは昨年新たに1億ドルを新規に調達することに成功しました。
また、Spotifyは競合他社に比べ市場ではるかに優位なポジションにあると言えます。現在世界のデジタル音楽市場ではアップルがトップを走っていますが、ダウンロード販売の勢いは徐々に落ちています。アップルもPandora Radioに対抗するネットラジオをローンチすると言われていますが、音楽業界の関係者によればアップルとレコード会社はライセンス契約でまだ大きく開きがあると伝えています。Googleなどその他の企業も同様にレコード会社と距離があります。ですが、Spotifyはすでにレコード会社と良い関係を構築している存在です。そのため、交渉に優位なポジションにいるといえるでしょう。

また世界の大手レーベルは北欧のデジタル音楽売上の伸びなどから、サブスクリプション型音楽ストリーミングサービスに、ダウンロード型販売よりも高いビジネスの成長と拡張性を感じています。

情報ソースによれば、Spotifyは無料会員向けの広告付き聴き放題サービスを拡大し、モバイルで提供するため、レコード会社と新しいライセンス契約で合意したい意向だそうです。現在スマホでSpotifyが利用できるのは月額10ドルを支払うプレミアム会員のみになっており、無料会員はSpotifyラジオなど制限された機能でしか楽しむことができません。

モバイルでのユーザーを多く獲得できれば、有料会員への移行も進みやすくでき、他社には無い音楽体験を提供できるというメリットがあるので、Spotifyは今の優位な状況下でできるだけSpotifyにもレコード会社にも有益な契約を結びたいと思っているでしょう。まだ交渉段階にあるとはいえ、この動きは目が離せません。

そんなSpotifyは今日本事業を始めるべく、人材を募集しています。ご興味のある方は、応募してください。

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ソース


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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