最近ライブコンサート分野でのテクノロジーが大きく進歩しています。今回ご紹介するのは、ライブコンサートをリアルタイムで視聴できるiPhoneアプリ「Spacebar」です。Spacebarは、音楽ファンには新しいライブの楽しみ方を、アーティストにはライブからの新しい収益を実現してくれる、モバイルユーザー向けの新しいツールです。

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Spacebarを使ってライブ配信を予定しているアーティストには、カニエ・ウェスト、ジョン・レジェンド、レディー・ガガらが名をつらねています。彼らは今年中に開催するコンサートをアプリ経由で配信する予定です。Spacebarはまたレディー・ガガのマネジャーのトロイ・カーターが関わっているコミュニティ・プラットフォームBackplaneとパートナーシップ契約を結んでいます。

 
ではSpacebarは何が新しいのか? まずSpacebarの配信方法ですが、ミュージシャンはSpacebarのアプリで登録し、直接ライブ会場のミキサー卓にiPhoneを接続するだけ。あとはアプリがコンサートをiOSアプリ経由でリアルタイムに配信してくれます。ミュージシャンはライブを無料で配信するか、有料で配信することができます。有料で配信する場合は、ユーザーは最初の5分は無料で視聴が可能。その後は99セントを支払ってライブを視聴することができます。

アーティストはライブ会場以外でも、レコーディングスタジオ、ツアーバス、パーティやイベントから配信することが可能です。Spacebarの配信音質は256kbsと328kbsで行われます。



ユーザーはまた視聴中にアーティストへチップ(おひねり)を渡すことも可能で、99セントから2.99ドルと少額をPayPalで支払えます。



Spacebarは配信からの売上をアーティストとシェアするビジネスモデルを採用しています。有名な会場(マディソン・スクエア・ガーデンなど)の場合は、会場、アーティストとレベニューシェアします。

Spacebarはアーティストに誰が視聴したか、ユーザーデータを提供します。これによってミュージシャンはどの地域で最も視聴されているかを把握ができ、ライブの調整や異なる言語でのコミュニケーションに活かすことができます。
 
SpacebarはTechCrunch Disruptで発表されたばかりのスタートアップで、創業者はGoogleの慈善事業Google.org立ち上げメンバーの一人, グレゴリー・ミラー(Gregory Miller)です。
 
ミラー氏は、「新人バンドなら数百ドル稼げただけでも大きなプラスになるはずです」と述べています。
 
すでに多くのファンを獲得しているバンドでしたらSpacebarの影響はさらに拡大できることも考えられます。
 
現在はUstreamやYouTube、ニコ生など映像サービスでのライブ配信が主要になっていますが、iPhoneなどモバイルデバイスでの視聴ができるほどスペックが最適化していません。Spacebarを使えば、オーディオ配信のみになるのでモバイル視聴するための負荷が低減されます。従ってこれまではモバイルで出来なかったライブのリアルタイム視聴がもっと楽しみやすい環境が増えることが確実ですね。
 
Spacebarでやって欲しいことといえば、Spacebarから楽曲やグッズが買えるようにできれば、もっと面白いインタラクションができるかと思いました。まだ始まったばかりなアプリですが、Spacebarのコンセプトは素晴らしい発想だと思いました。

ソース
Spacebar Streams Concerts To Your Phone So Musicians Don’t Starve(4/29 TechCrunch)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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