Appleと大手レコード会社のユニバーサルミュージックは、噂されるAppleの音楽ストリーミングサービス「iRadio」のライセンス契約で合意に至ったとフィナンシャル・タイムズがレポートしています。Appleはまた大手レコード会社のうちワーナーミュージックとのライセンス契約が間近に迫っていますが、ソニーミュージックとの交渉が難航しているとのことです。

Apple、オンラインラジオ「iRadio」開始に向けて来週にもユニバーサルミュージックと契約合意か?
Apple、噂される音楽ストリーミングサービスで大手レコード会社2社と契約が間近、今夏に日本を含む世界ローンチの可能性

フィナンシャル・タイムズによれば、Appleはストリーミングサービスを開始するにあたって、ストリーミング再生100回に付き6セントのロイヤリティ料をレコード会社に支払う内容を提案していました。しかしその後Pandora Radioと同額になる12.5セントに引き上げたと言われています。ユニバーサルミュージックが12.5セントで契約に合意したかは不明です。

Appleは2012年度のiTunes音楽ダウンロードからの売上は43億ドルとなりました。その内34億ドルがレコード会社に支払われています。音楽業界の中にはiRadioへの将来的な期待が大きいことから、AppleはPandoraや他社よりも多くのロイヤリティを支払うべきという考えの経営者もいるそうです。

iRadioの動向に詳しい情報ソースによれば、Appleは3つの収益源をレコード会社に提案しているそうです。一つ目は、ストリーミング再生ごとのロイヤリティ、二つ目はiRadioの広告のレベニューシェア、三つ目は契約に際して支払う最低保証金。

iRadioサービスの開始が遅れている理由には、Appleとレコード会社間のライセンス契約があると言われています。最大額が欲しいレコード会社と、最小額を支払いたいAppleがお互いに納得できる契約内容にはまだ開きがあると考えられます。

また通常であれば、テクノロジー業界で最も影響力のあるAppleが交渉の主導権を握ってもおかしくない筈ですが、現在の音楽ストリーミングサービスの市場では状況が違ってきます。レコード会社はAppleの他にも、SpotifyやDeezerなど先行する音楽ストリーミングサービスから優位な条件を引き出すことで、Appleの提案もレコード会社に有利な内容に変えるようプレッシャーを掛けることができるからです。

さらに、音楽ストリーミングサービスの分野にはGoogleやMicrosoft、Amazon、サムスンなど大手テクノロジー企業も参入を検討しています。これらの企業がAppleに対抗するために、よりレコード会社寄りの好条件を提示する可能性も高く、その内容によってはレコード会社はApple以外の企業と先に契約することも考えられます。

iRadio最大の競合になると考えられるアメリカで最大のネットラジオ「Pandora Radio」は、毎年巨額のロイヤリティ料の支払いをレコード会社に行なっているため、料金の値下げを進めるためにロビー活動を行なっています。

Royalty fees paid by Pandora from 2007 to 2013
You will find more statistics at Statista

Appleはレコード会社にiRadioサービス開始を今夏に予定していると伝えているとレポートされています。Appleは開発者向けのカンファレンス「WWDC」を6月10〜13日に開催予定で、この場でiRadioについて発表があることを期待したいですね。

 

ソース
Apple’s ‘iRadio’ talks hit royalties snag(5/9 Financial Times)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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