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2000年代初頭に登場しその後10年の音楽ビジネスや音楽ダウンロードの礎となった、P2Pファイル共有サービスのNapster (ナップスター)、その誕生秘話と成長を描いたストーリーの映画化が進行中と、映画ニュースのDeadline Hollywoodが伝えています。
Alex Winter (アレックス・ウィンター)が監督・脚本を務めるこの作品は、音楽TV局のVH1 (MTVの親会社Viacomの傘下)の製作協力の元、ドキュメンタリー映画として公開されるそうです。
Deadline Hollywoodによれば、同氏は10年に渡りNapster (ナップスター)に関する映画の制作を目指していたそうです。ようやくパラマウント・ピクチャーズ系列のMTV Films (MTVの映画部門)と契約を交わすまでに至ったのですが、企画は前進せず、その間にMTV側はいつの間にか『ソーシャルネットワーク』の制作に取り掛かり、完全に忘れられた存在になってしまったようです。
2000年秋にはTime誌の表紙を飾る
Napster共同創設者であるショーン・ファニングとショーン・パーカーも、このプロジェクトに参加しているそう。
ショーン・ファニングはナップスター以後、幾つかのスタートアップを立ち上げた後、最も最近では2010年に元Facebookのプラットフォーム担当だったデイブ・モリンととも写真共有SNSの『Path』の創設に関わってきました。
ショーン・パーカーは、映画『ソーシャルネットワーク』でご存知の人も多いと思います。前Facebook社長で慈善活動サービスの「コージズ」共同設立者のパーカーは、投資会社Founders Fund(著名投資家のピーター・シール(PayPal共同設立者兼CEO、Facebook取締役)とともに)で、音楽ストリーミングサービスのSpotifyに出資するなど、投資家として活躍しています。ちなみにFunders Fundは上記のPathにも投資をしており、未だに関係は続いているようです。
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(右がショーン・パーカー、左が映画『ソーシャルネットワーク』でパーカー役のジャスティン・ティンバーレイク)
その他にもレコード会社のの経営陣やアーティストの参加も現在調整中とWinter氏は説明しています。メタリカのラース・ウルリッヒやパブリックエネミーのチャックDにも出演してほしい人、大勢いるでしょうね
Napster (ナップスター)は、1999年に19歳のファニングが書き上げたファイル共有プログラム。口コミによって主に米国の大学(既に高速インターネットを導入済み)で短期間で急速に利用拡大していきました。検索、フィルタ、チャット、ファイル共有機能を搭載したアプリケーションは、ネット上の相手のファイルから直接ダウンロードを可能にし、音楽ファイルをタダで入手することが出来るようになったことで、2500万人近くのユーザーを獲得しました。
反面、法律上の問題に直面し、2000年にはメタリカが、そしてアメリカレコード協会(RIAA)が著作権侵害で訴訟を提起、米国控訴裁が違法判決を下した結果、2001年にサービスを停止しました。その後、破産申請を行い企業に買収され、現在は米大手家電チェーンのベストバイの傘下に入っています。
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ナップスターの登場でCDをショップで販売するという従来の音楽ビジネスモデルは根底から覆されました。その結果アップルによるiPod/iTunesの登場やデジタル音楽の成長など、過去10年間の急速な音楽業界と音楽消費形態の変化に大きな影響を与えた一つの出来事でした。
しかしナップスターやその他のファイル共有サービスが開発されたことで、コンテンツの違法ダウンロードが普及したと、音楽業界は対抗姿勢を示してきました。下のグラフは、4月にレコード会社がファイル共有サービスの『LimeWire』に対する訴訟で連邦裁判所に提出した資料から、米国のアルバム販売がもしNapsterなどファイル共有サービスの影響を受けなかった場合、どの程度まで収益が見込まれたのかを示したチャートです。550億ドルの損失が過去10年で生まれたとレコード業界の人間は説明しています。
image via Mashable
個人的に非常に残念と感じることは、ファイル共有サービスが原因の全てであるかのように扱われることです。消費者のニーズに合わせたコンテンツを提供できず革新を受け入れず、変わろうとしない音楽ビジネスの人たちにも問題はあるのではと考えずにはいれません。
現在のNapsterは、会員制のオンデマンド無制限ストリーミングサービスに事業形態を変え、広告無しの月額4.17ドルのウェブプランと8ドルのモバイル付プランを提供しています(7日のフリートライアルも一応あります)。現在は米国、カナダ、ドイツ、英国からサービスにアクセスできます。
image via P2Pとかその辺のお話@はてな via The Glove and Mail
多分この映画を見た人の中で何人か、音楽ビジネスや音楽体験の新たな可能性に気が付いて(もしかしたらすでに気が付いている・・・)行動に移すようになってくれれば、うれしいです。僕もその一人として、ソーシャルメディアと音楽ビジネスの可能性で日本と世界が結べるよう、表現していきたいと思います。
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