スウェーデン生まれの音楽ストリーミングサービス「Spotify (スポティファイ)」が、有料会員数300万人を突破したことを発表しました。
2011年9月に200万人、11月に有料会員が250万人に達し、わずか二ヶ月で50万人を獲得する勢いで成長を続けています。Spotifyによれば、有料会員はアクティブユーザーの20%を占めています。また有料会員の半数は30歳以下です。
課金ユーザー比率は、2011年3月に有料会員数100万人だった時点の15%を上回る数値です。
Spotifyはソーシャル機能を搭載するクラウド型音楽ストリーミングサービスです。フリーミアムのビジネスモデルで、無料プラン(広告、再生時間制限付き)と2種類の有料プラン(広告・制限無し)を提供します。世界4大レーベルのEMI,ソニーミュージック、ユニバーサルミュージック,ワーナーミュージックをはじめ世界中のインディーズレーベルとライセンス契約を結び、PCやモバイル、アプリ経由で1500万曲から好きな音楽をいつでもどこでも聞き放題で堪能することが可能です。現在ヨーロッパや米国等世界12カ国で運営しています。
Spotifyの最高コンテンツ責任者兼米国事業責任者であるKen Parks氏はFinancial Timesの取材に、「Spotifyはサービスが拡大するほど、(Spotify,アーティスト、レコード会社)全員のメリットが増加する、健全なビジネスモデルです。また普通はマネタイズが難しい30歳以下のユーザー層が有料会員になったことは素晴らしい結果です」と述べています。
image via Musicalley
英国のユニバーサルミュージックUKが1月26日に「Investors’ Open Day」というイベントを主催しています。同イベントにはSpotifyのKen Park氏もゲストとして招待されています(他の招待パートナー企業は投資銀行のGPBullhound、メディア調査会社のEnders Analysis, Beats by Dr DreのCEO)。デジタル音楽の動向についてのQ&Aの中で、Spotifyが成功している要因が幾つか説明されました。以下はイベントをレポートした音楽サイトMusic allyからの抄訳です。
市場は違いますが、消費者がどんなチャネルを使ってデジタル音楽を消費しているのかが分かり、選択肢の可能性を感じます。
【通信キャリアとの提携】
SpotifyはスウェーデンではTeliaと提携したことで、(競合のDeezerはフランス国内でOrangeと提携)、有料会員化が加速した。また通信キャリアは「独占契約」を好むので(SpotifyはTeliaと独占提携)、同様の契約での新規参入も可能(Enders AnalysisのAlice Enders氏)
【アーティストのメリット】
「Spotifyからの教訓は、消費者がサービスを体験し、メリットを理解するには、無料のトライアル期間が必要であること。音楽のバリューチェーンに関わる全ての人は、不正ダウンロードを無くし有料会員になってもらう流れの途中にはフリーのサービスが必要で、その間は権利所有者やアーティストが期待する利益とは異なる可能性があることを理解する必要がある。フリーサービスを受け入れることが唯一利益を出せる方法」(ユニバーサルミュージックUKのFrancis Keeling氏)
コールドプレイやアデルなどアーティストがSpotifyに参加を見合わせる状況について、「AppleがiTunesを立ち上げた時、多くの有名アーティストは新しいビジネスモデルに不満を示し、物議を醸しだしました。Spotifyやその他の音楽ストリーミングサービスが、ダウンロードやCDのアルバム売上を奪っているという証拠はありません。Spotifyでアルバム配信を辞めたとしても、YouTubeなどに投稿されますし、(全く利益化できない)Groovesharkにもアップされる可能性があります」(Parks氏)
【Facebook】
「ソーシャルシェアリングにより音楽と接触頻度を上げることが、ユーザーから課金することの重要なカギです。Facebookコネクトを利用して、プレイした楽曲をシェアするSpotifyユーザーは、通常ユーザーより3倍も有料会員になる可能性が高いことが分かりました」(Parks氏)
「またSpotifyのアプリプラットフォームにより、視聴する楽曲やアーティスト名を共有するだけでなく、アーティストのライブ情報やチケット購入も可能です。Spotifyで配信するアーティストは、このバイラル効果もメリットになります」
Parks氏は『デジタル音楽市場は飽和状態ではないか?新サービスの参入は減らすべきでは?』との質問に対し、「成功する音楽サービスは、消費者の行動を変えようとするのではなく、ユーザーを観察し行動に適応しようとします。(サービスを提供する上で)簡素化が非常に重要であり、使いやすさの提案が求められます。このことは、誰が市場に参入することとは、関係ありません。競争は歓迎します」。「私たちは、レコードビジネスにとって最高の日が近く訪れると考えます。私たちのモデルは業界の健全性を回復させると同時に、他のビジネスモデルとも共存できると強く信じています。」と最後に述べていました。
image via Spotify ブログ
+++++
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメントは
@jaykogami まで
Facebook.com/jaykogami までどうぞよろしくお願いします。
ソース