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「Rap Genius」というサイトを皆さんは御存知ですか?

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Rap Geniusは、ユーザーがあらゆるラップの歌詞に説明書きを加えウェブ上で閲覧できるコミュニティサイトです。難解なラップの歌詞の解説をクラウドソース化することで、誰でも知識を投稿し共有することができる、ヒップホップファン向けの音楽サイトです。

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この「Rap Genius」が、著名な投資会社「アンドリーセン・ホロウィッツ (Andreessen Horowitz)」(以下AH)から1500万ドル (約12億円)の資金を調達しました。

アンドリーセン・ホロウィッツはTwitterやFoursquareなど有名スタートアップに投資をしており、パートナーのマーク・アンドリーセンは現在Facebookの取締役を務めるなど、テック業界に大きな影響力を与えているベンチャーキャピタルです。

Rap Geniusは、DropboxやAirbnbを輩出してきたインキュベーター「Yコンビネーター (Y Conbinator)」の卒業生でもあり、その中でも、最も成長速度の速い企業の一つです。2009年に立ち上げたRap Geniusでは現在フルタイムの社員9人と、450人を超えるボランティアが活動しており、ユーザー数150,000人以上を有します。

サイト上には歌詞の注釈に加え、YouTube動画またはSpotifyプレーヤーが埋め込まれているので、歌詞の意味を深堀しながら、音楽を楽しむことができる。また、アーティストからも支援されており、 Nas, RZA, Kendrick Lamar, Big KRITなど人気ラッパーは公式アカウントを開設し、自らの新曲の歌詞をファンに向けて説明したり、コメントを返信するなど、コミュニティ内でファンと対話をしています。

ちなみにRap Geniusは全く広告を打っていません。

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image via CNET

AHは投資の理由をとして以下の3つのポイントを挙げています。

1. 盛況なヒップホップ人気における、アイデア・アーティスト・ファンを結ぶエコシステムを形成
2. 個性ある魅力的な3人の創業者チームとスキル
3. ラップ歌詞以外での可能性
4. コンテンツに誰もが投稿できるウェブ注釈機能 (Mosaicのgroup annotations機能の現代版)

アンドリーセンは特に、Rap Geniusのラップ歌詞を超えたジャンルでのテキスト注釈を目指すビジョンに共感したことが、投資の理由だと説明しています。「世界(のコンテクスト)を解釈し、知識に関する情報を蓄積し、(ユダヤ教の聖典)タルムードのインターネット版を作ろうとしています。ラップ以外のあらゆるカルチャーにおけるコミュニティ形成が考えられます。この企業はとてつもない可能性を秘めています」と評価します」と、ブログに投稿しています。

Rap Geniusのサービスを応用すれば、ラップ歌詞だけでなくロック歌詞も可能で、ポエトリーや文学、聖書、スピーチ、研究文書など、あらゆる文化的資料に注釈をクラウドソースで加えることも実現できる可能性があります。

歌詞コミュニティでは他に「SongMeanings」「Metrolyrics」などがありますが、ラップに特化しているサービスは珍しく、ニッチなジャンルの元に集まったファン同士がお互いの投稿に反応し合ったりできる環境がRap Geniusにはあり、そのインタラクションがユーザーのモチベーションになっていると感じます。同時に、ラップ歌詞が反映する時代性や社会性に重きを置く文化と熱心なフォロワーが、オンライン・オフラインに存在しているからこそ成立するカルチャーサイトの具現化とも思えます。日本で同じサービスが始まるのなら、どれだけ熱心なファンを集め継続的な交流を導き出せるか、将来性のあるコミュニティに育てていけるか、これらを受け入れる大きな環境作りがこれからは大事だと思っていますので、応援していきたいと思っています。

ファンやアーティスト、ネットや投資家と様々なパーツがネットワーク化して実現したRap Genius, 今後はどの分野とつながるのか、将来が楽しみです。

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音楽好きにはお薦めします!ご興味のある方は、サイトをチェックしてみてください。

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ソース

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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