イギリスのインディーズロックバンド「Foals」(フォールズ)のボーカリスト、ヤニス・フィリッパケス (Yannis Philippakes)が、テレビのインタビューで「 Spotify 」(スポティファイ)などサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスはアーティストへの収入が少ないと批判するコメントを発しています。

フィリッパケスは、Spotifyで音楽が聴き放題出来ることについて

僕は、音楽をSpotifyでストリーミング再生するくらいなら、アナログレコードを盗むほうがマシだと思う。なぜなら、もっとみんなアナログレコードで音楽を聴くべきだし、そもそもあれ(Spotify)の比べたら、どんなものでもいいと思う

この(音楽ストリーミング)やり方は、シェフやスタッフが一生懸命にサービスしてくれるレストランに行って、ペニーをティップに置いて食事代を払わないようなものだ。僕はそう思うよ。

Foals frontman

一方で、Foalsはトム・ヨークのようにカタログを取り下げることはせず、最新アルバム「Holy Fire」を含むアルバムを現在でもSpotifyで配信しています。Foalsの”Popular”セクションにある楽曲の累計再生回数は、2228万回を超えています。

デヴィッド・バーンが音楽ストリーミングの「 Spotify 」を批判、ネットで話題に

トム・ヨークやデヴィッド・バーンと同じ見方をしていますが、議論の根拠が腑に落ちないというか、矛盾しているというか、脆弱すぎる気がします。例え話が悪すぎるのかもしれません。Foalsの場合、例えば「Holy Fire」はイギリスでマーキュリー賞にノミネートされるほど人気も評価も高く、このアルバムの売上やツアーでかなりの収益を上げることが簡単に予想できます。またSpotifyだけでなく、DeezerやYouTubeなどその他の音楽ストリーミングサービスからも長期間に渡り収益を上げられるはずですので、Spotifyが全ての収入源のように言及し非難することは、そもそもどうなのかと思いました。もっとアーティスト同士や、アーティストとレコード会社が話しあったり、アーティストと音楽サービスが議論し合う場があってもよいのではと感じます。

Spotifyとアーティストへの収入のすれ違いは、短期的には解決できるものではありません。個人的にも、解決の手段は分かりませんが、長期的に考えることが必要だとは思っています。今後Spotifyなど音楽ストリーミングが世界で成長していけば、声を上げるアーティストも増えていくでしょう。ですが、その中には矛盾した意見を述べるアーティストも増えるだろうなとも思いました。今後Spotifyとアーティストが良好な関係を構築するには、お互いが説得力のある透明なコミュニケーションを取ることで、解決のキッカケにつながっていって欲しいと感じました。

Foals frontman slams Spotify ahead of Mercury awards – video(10/28 Channel 4)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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