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メジャーレコード会社のワーナーミュージックは音楽認識アプリのShazamと戦略的提携で合意、新人アーティストの発掘を目的とするShazamブランドのレーベルの創立、そしてワーナーミュージック所属アーティストのマーケティング活動におけるコラボレーションを実施すると発表しました。

新しい提携において、両社はShazamブランドのレーベルにおいて、ワーナーミュージックのA&RチームとShazamの音楽ビッグデータを連携させ、無名のアーティストの発掘と契約、そしてアーティスト活動の支援を行っています。また、Shazamアプリ独自のダイレクトなエンゲージメントのアプローチを活用し、アーティストのマーケティング活動を強化し、ファンが新人アーティストを発見できるよう支援して行きます。

Shazamは現在世界で200カ国以上で利用され、ユーザー数は4億2000万人に上ります。

ワーナーミュージックのCOO、ロブ・ウィーゼンタール (Rob Wiesenthal)は

世界中の音楽ファンにとって共通のミュージックディスカバリー・ツールであるShazamとパートナーとなることで、私たちは、「世界初ビッグデータに対応したクラウドソース型レコードレーベル」設立という巨大な計画を実現させます。データやクラウドソースによる情報分析は私たちのA&Rのプロを代替することは出来ないまでも、私たちはこの新設されるレーベルから取得する情報が、明日のスターを見つけるための有益なサインを提供してくれると信じています

と、コメントしています。

ワーナーミュージックは今回の提携によって、所属アーティストのプロモーションに利用できるユーザーデータへのアクセスができます。一方でShazamは、ワーナーミュージックから独占的にアーティストの特別コンテンツを提供してもらい、ユーザーの音楽とのエンゲージメントをさらに向上させるコンテンツを拡充することができます。

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提携の第一弾として、ShazamとワーナーミュージックはChromeoの新曲『Come Alive』のPVと、とWiz Khalifaの新曲『We Dem Boyz』をShazamのニュースフィードで世界初公開します。

また今回の提携はワーナーミュージックと全米最大手のラジオ曲ネットワーク、クリア・チャンネルとの戦略的提携でさらに拡張され、新人アーティストやプロモーション活動は、全米中のFMラジオ局やネットラジオiHeartRadioにおけるラジオおよびSNSを使ったプロモーションによって、ファンへと届けられます。

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音楽業界にとってのビッグデータとデータ解析の重要性が今年に入り大きく注目されています。とくに新人発掘やアーティストプロモーションの面でレーベルはどれだけ正確なデータを取得し解析するかにおいては、大手レコード会社やメディア会社はこぞって投資をしているのが、世界の音楽ビジネスのトレンドの1つです。

今後の課題としては、データからどれ位ヒット曲が生み出せるか、スターを発掘できるか具体的な成果がレーベルには求められるようになります。ソーシャルメディアやオンラインの世界におけるバズやニッチなコミュニティから、新人を発掘するアプローチは、これまでのA&Rとは全く違うアプローチでもあるため、その分野をどう戦略的に攻略するかが、これからレコード会社が次のレディーガガやリアーナを見つけていくためのチャレンジになりそうです。

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ソース
Shazam-branded label on the way thanks to Warner Music Group deal(2/20 The Next Web)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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