グーグルは次にリリースする新型Android搭載デバイスでは、音楽再生にヘッドフォンジャックを無くし「USBオーディオ」を採用する予定です。
これはグーグルが先日開催した開発者向けカンファレンス「Google I/O」で発表された次期OS「Android L」の機能を紹介するプレゼンテーションの中で、「USB audio」が示されていることから明らかになりました。
USBを使ったヘッドフォン規格が採用されれば、現在スマホで使われている品質の悪いD/Aコンバーターを介する必要がなくなり、microUSBケーブルを経由して強力で高性能なD/Aコンバーターを使った音楽再生がヘッドフォンで楽しめるようになることが期待されます。
またUSBを使うことによって、ヘッドフォンのノイズキャンセリング機能などに必要な電力をスマホから送ることが可能になるため、小型化や軽量化したデザインを採用することができます。
さらに、USBオーディオ規格の実現によって、ヘッドセットとデバイス、アプリが連携した「スマート・ヘッドフォン」の開発と製品化の可能性も広がると考えられています。
アップルは自社の開発者向けカンファレンス「WWDC」で、今後iPhoneやiPadの音楽再生には従来の3.5mmヘッドフォンジャックではなく、Lightningケーブルを使ったヘッドフォンの規格を発表しました。
Androidデバイスメーカーが3.5mmヘッドフォンジャックを廃止しUSBオーディオ規格に対応したヘッドフォンジャックを次のデバイスから採用することは、これまでヘッドフォンを使ってきたスマホユーザーへの負担などを考えると可能性が低いと思われます。
しかしグーグルとアップルはこれまで発表されてきたスマートフォンに当たり前のように搭載されてきたヘッドフォンジャックの在り方を根本的に置き換える技術を業界に広めようとしています。この流れは、ボリュームのコントロールや楽曲再生ボタンのコントロールの域で止まっていたヘッドフォンの製品開発を次のレベルに引き上げるでしょう。
例えばこの変化は、モバイルアプリやサービスの幅を大きく広げてくれます。音質やデータ転送の仕組みが変われば、音楽ストリーミングサービスの高音質での配信や高音質音楽ダウンロード、動画ストリーミングの高品質化も実現できるかもしれません。そうなればSpotifyやiTunes、Android Store、YouTubeなどを、よりクリエイターが望む音に近い品質で楽しむことが可能になります。これによってアクセサリーメーカーとデバイスメーカー、サービスがAndroidやiOSのエコシステムでもっと一体型のモバイル体験を提供できるようになるかもしれません。
またバッテリーが必要なくなるため小型化や省スペース化が進み今までにないデザインのヘッドフォンが作られるかもしれません。例えばセンサーなどが取り付けられアプリによってカスタマイズしたりパーソナルデータを管理しデバイスやアプリと連携させることも可能になるかもしれません。グーグルとアップルの動きは、ヘッドフォン・イヤホンの領域にもInternet of Things (ioT)のアプローチが間もなく来る可能性を示しています。
ソース
Android To Abandon Headphone Jack? New Audio Output In Android 5.0 (6/27 Forbes)