イギリスのロックバンド、コールドプレイが5月にリリースした最新アルバム「Ghost Stories」が、Spotifyなど音楽ストリーミングサービスで配信を開始しました。
最新アルバムはCD、ダウンロード、アナログレコードでのリリースから約4カ月後に、SpotifyやDeezer、Rdioの定額制音楽配信サービスで解禁されました。
コールドプレイは2011年にリリースした前作「Mylo Xyloto」でも、Spotifyなど音楽ストリーミングでの配信時期を遅らせ、4ヶ月後に配信を開始した戦略を取っています。
これは「ウィンドウ戦略」と呼ばれる戦略で、さまざまなメディアでコンテンツの配信時期を意図的にずらして設定することで、収益化を最大にする戦略です。
コールドプレイ以外にも、テイラー・スウィフトが2012年10月にリリースした「Red」は、2013年5月まで音楽ストリーミングでは配信されず、アデルの「21」は2011年1月のリリースにも関わらず、Spotifyでの配信開始は2012年6月と1年半近く遅れて開始しました。
「Ghost Stories」の配信戦略
コールドプレイの「Ghost Stories」は、その点リリースから4カ月と比較的短い期間の保留期間だけでした。さらに「Ghost Stories」は8月19日からアップルの定額制音楽配信サービス「Beats Music」で独占的に配信を開始しています。
一方でリリース前には、無料での配信をさまざまなサービスで行なっています。
まずiTunesでは、リリース前の1週間前に無料でストリーミング配信を実施し、ダウンロード版のプリオーダーへと結びつけています。
またSpotifyでも先行シングル「Magic」を3月6日に配信を開始、再生回数は現在では1億1334万回を超える大ヒット担っています。
Spotifyは、ウィンドウ戦略を実施するアーティストやマネジメントに対し、ストリーミング配信することで人気リリースの違法コピーの蔓延を防ぎ、ファンへ合法な形で音楽を届けられると主張しています。
本当に音楽が聞きたければダウンロードしたりフィジカルコピーを購入するだけという主張も十分に理解は出来ます。ですが、フィジカルコピーで発売された音楽はその日のうちに違法サイトにアップされているのが、今の世界の悪い流れです。この問題を解決する方法の1つが、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスであって、音楽ストリーミングが売上をカニバライズするわけではありません。いまだウィンドウ戦略が直接的に売上に影響したかどうかの具体例は未だ明らかになっていません。この辺りの音楽サービスのメリットやマネタイゼーションについてはアーティストやマネジメント側がファンに理解できるように、もっと議論してもいいのではないでしょうか。
ソース
Coldplay’s Ghost Stories goes live on Spotify and streaming music services (9/23 theguardian.com)