全米レコード協会 (RIAA)が発表した米国音楽市場の上半期レポートによると、アメリカの音楽市場は前年同期比の33億5000万ドルから4.9%ダウンして32億ドル (約3790億円)に減少しました。
デジタル音楽の収益は昨年同期とほぼ横ばいの(マイナス0.5%)22億ドル(約2400億円)となり、全体収益の69%をしめました。その割合はデジタル・ダウンロードが41%、ストリーミングが27%、フィジカル(CD+アナログレコード)が28%、シンクロ権が3%、リングトーンが1%でした。
デジタルサービスに目を向けると、ストリーミングとサブスクリプションが軒並み成長していることが注目です。サブスクリプション型音楽サービスの収益は23.2%増加し、3億7140万ドル(3億140万ドルからアップ)。広告モデルのストリーミングサービスは56.5%増加し1億520万ドル。
前途の通り、オンデマンド型音楽ストリーミングサービス (Spotify、Rhapsody、Google Play)、ネットラジオ (Pandora、iHeartRadio)、音楽を扱う動画サービスを含むストリーミングは、総収入の27%を占めるまで成長しました。
RIAAの推測では、米国で有料のデジタル音楽サービスを利用する人口は780万人で、2013年12月時の610万人から拡大しています。
その反面、デジタルダウンロードの売上は減少気味にあります。アルバム/トラックダウンロードの売上は11.8%減少し14億7000万ドルから13億ドルまで縮小しました。
CDの売上は19%減少し7億1600万ドル。一方でアナログレコードの売上は、43%増加し1億4600万ドルと、ニッチな市場を拡大しています。人気復活に伴ってアナログレコードは総売上のシェア4.6%まで成長してきました。
アメリカの音楽業界はSpotifyやYouTubeなどの急激な成長と売上増加によって、「第二」のシフトを迎えていると言えるでしょう。音楽ストリーミングの売上は音楽ビジネス内でも急速に拡大し、主要な収益源として新たな可能性をアーティストやレコード会社にも示しています。
一方、この急成長をもってしても、CDやデジタルダウンロードの売上低下を補完することはできていません。
消費者の注目が、音楽をシングルやアルバムで購入することよりも、ネットやスマホで視聴することへ徐々に移行していることは、音楽の消費形態もシフトしていることを意味します。これまでiTunesが中心だったデジタル音楽で、音楽ストリーミングは確実に第二の波といえるトレンドとなっています。音楽ビジネスやコンテンツビジネスの今後にますます注目です。
ソース
U.S. Music Revenues Down Nearly 5%, Says RIAA (9/25 Billboard.biz)
U.S. Music Sales Drop 5%, as Habits Shift Online (9/25 NYTimes.com)