音楽ストリーミングサービスSpotifyでキュレーションしたプレイリストを共有できるサービス「Playlists.net」が買収されました。買収先はSpotifyでもグーグルでもFacebookでもなく、なんとワーナーミュージック・グループのアーティスト・レーベル・サービス部門「WEA」でした。
かつては「ShareMyPlaylists」というプラットフォーム名で知られたPlaylists.netは、2009年に設立された英国の音楽スタートアップで、Spotifyのエコシステムにいち早くチャンスを見出し先手を打った数少ない音楽サービスの一つです。Playlists.netはSpotifyユーザーが作成したプレイリストを共有したりレコメンドしながら音楽を楽しむ場所を、Spotify音楽アプリとウェブ、iOS/Androidアプリとして提供してきました。また独自のプレイリスト作成機能をEcho Nestと連携し、ミュージックディスカバリー機能の強化を図ってきました。
Playlists.netは月間100万ユーザーを獲得し(2014年7月)、サードパーティとしては最大のSpotifyプレイリスト・データベースとなる15万以上のSpotifyプレイリストを保有しています。
公式発表では今後もPlaylists.netは、創業者兼CEOのキーロン・ドノヒュー(Kieron Donoghue)の元、独自運営で継続していきます。Playlists.netの買収金額は未発表です。
ドノヒューは
我々は今年初めにWEAからアプローチがあり、コラボレーションの方向で議論を進めてきた中で、両社が手を組む方が得るものが大きいことが明白になった。最もエキサイトなことはWEAがPlaylists.netを独立系プラットフォームとしてサポートし、将来性への投資さらには音楽ストリーミングのエコシステムの中で新しいチャンスを最大活用するためにチームを成長させることにコミットメントを示してくれたことです。WEAは、どんどん音楽ストリーミングを受け入れ、新しいコンセプトを構築し、成長する領域でのイノベーションを実現するため前進しようとしている。
とコメントしています。
メジャーレーベルはSpotifyでプロモーションを実施していく上で、リスナーとエンゲージメントを作る上で見逃せないのがSpotifyプレイリストの存在です。
3大メジャーレコード会社では、それぞれSpotify向けにプレイリスト・キュレーションサービスを展開しています。ユニバーサルミュージックは「Digster」、ソニーミュージックは「Filtr」ワーナーミュージックは「PlaylistMe」のチームがプレイリストを活用したプロモーションを戦略的に実施しています。
聴き放題できる音楽ストリーミングサービスSpotifyでは、2000万曲の楽曲カタログに対し、これまで15億個以上のSpotifyプレイリストが作成されています。有名なSpotifyユーザーのプレイリストに追加されたことから、ヒット曲や人気アーティストが生まれるキッカケにつながったケースも現れています。
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ユーザーによってキュレーションされたSpotifyプレイリストはまた、どのアーティストや楽曲が今後人気が出るかを探るためのマーケティングツールとしても活用することができるため、新人発掘や未来のヒット曲をいち早くレーベルが見つける可能性が高まります。音楽ストリーミングサービスの普及が世界的に拡大する現在、メジャーレーベルの音楽マーケティングの手法もプラットフォームと共に変化し始めています。レーベルがキュレーションするプレイリスト、アーティストがキュレーションするプレイリスト、人気ユーザーがキュレーションするプレイリストなど、Spotifyプレイリストを使った音楽プロモーションは今後レーベルにとって当たり前のプロモーション手法の一つになるかもしれません。
ソース
Playlists.net Acquired By Warner Music Group(10/16 TechCrunch)