仕事や勉強に集中したい時に好みにあった音楽を流しながら作業をする人も居ると思いますが、最先端の神経科学テクノロジーと人工知能を駆使した音楽サービス「Brain.fm」は個人のユーザーに最適なトラックを再生して集中をサポートしてくれるというサービスです。
2015年にシカゴで開始したBrain.fmは人工知能が作曲した曲を、個人の特性に併せてBGMとして流します。楽曲は全てオリジナル曲で、ユーザーは「Focus(集中)」「Relax(リラックス)」「Sleep(睡眠)」の3カテゴリーを選ぶことで、脳の状態にマッチしたBGMがストリーミング再生されてきれます。
科学的実験結果もデータとして提供されており、Brain.fmを使った場合、パターン認識の速度や正確性が通常よりもアップするといいます。
Brain.fmのサイトには「我々のミッションは注意不足障害(ADD)、不安神経症、不眠症をオーディオ脳波トレーニングで解決することで、Brain.fmはその最初の第一歩です」と企業のゴールが説明されているように、このサービスは脳活動を音で活性化する、脳研究と技術開発を融合した「ニューロテクノロジー」型音楽サービスとして開発を進めています。
リオ五輪選手もリラックス術ですでに活用
驚いたことになんと、リオ五輪に参加している米レスリングチームは、このBrain.fmをトレーニングで利用して大会に参加しているのです。
Newsweekに対してヘッドコーチのマット・リンドランド(Matt Lindland)は、選手の睡眠に効果的なソリューションを模索していた時にBrain.fmを出会ったと言います。
「我々の選手の睡眠は改善されましたし、練習のリカバリーも改善しました。睡眠はハードなトレーニング後のリカバリーに欠かせない要素です。私はこの課題をリオ五輪前、そして期間中に重要視してきました」
米レスリングチームはBrain.fmを2月から採用して、リラックス/集中/睡眠のそれぞれのセッションを利用してきました。
チームキャプテンのロビー・スミス(Robby Smith)は、競技前の準備でこれまで聞いていたラップやカントリー、クラシックを、AI音楽に変わったと言います。また以前は睡眠のためにホルモンメラトニンを利用していたそうですが、現在はBrain.fmを使って寝ているというので、副作用などを心配することもなさそうです。
Brain.fmは聴き放題の定額制音楽サービスです。月単位で聴き放題できる月額6.95ドルの「Monthly」プラン、年間47.88ドル(月額3.99ドル)で聴き放題できる「Yearly」プラン。さらに149.99ドルで制限なくライフタイム分が聴き放題できる「FOREVER」プランの3通りで利用できます。
人工知能とマシーンラーニングを活用した楽曲制作は、すでにグーグルやBaiduなど大手IT企業からJukedeckなどスタートアップが取り組み始め、プロジェクトの進捗も公開され始めていることもあり、クリエイティブな世界で人工知能の未来と影響が注目されています。人工知能と音楽テクノロジーが融合してもたらされるクリエイティブは、ユニークな体験として音楽好きや音楽業界、IT業界で、これまで壊せなかった既存の価値観を壊し、常にアップデートされ続ける新しい価値観が生み出されていく未来が、本当の意味での人工知能と音楽の融合かもしれません。
ソース
Brain.fm Uses AI-Generated Music To Help You Focus (Digital Trends)
Brain.fm brings musical AI to Rio Olympics’ training(ReadWrite)
Olympic Wrestlers Tune in to Artificial Intelligence ‘Songbots’(Newsweek)