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LINEが開発した「WAVE」が出荷されて、日本でもAIアシスタントを搭載したデバイス「スマートスピーカー」への注目が高まる中、一体何ができるのかと、静観する声も少なくありません。

海外で高い人気を集めるスマートスピーカー「Amazon Echo」を販売するアマゾンは、「フラッシュ・ブリーフィング」のスキルを強化、音楽専用のAlexaスキル「Today in Music」をアメリカで開始しました。

スキルとは、Amazon Echoに内蔵されるAIアシスタント「Alexa」(アレクサ)に対応した音声コマンドの総称。「アレクサ、○○お願い」(○○はスキルによって変わる)とEchoに伝えることで、音楽ストリーミングやラジオの再生といったさまざまな動作をEchoを拠点に行っていきます。これらのデバイスの可能性を広げるAlexaスキルの豊富さと多様さが、Amazon Echoの差別化ポイントの一つとなっています。

「Today in Music」では、ユーザーがEchoに向かって「アレクサ、what’s today in music」と言うと、音楽関連のニュースや新譜情報、さらには近辺で開催予定のライブ情報や、アマゾンの独自コンテンツ情報などを音声で読み上げてくれます。音楽情報自体は、メディアやパートナーサービスの情報ですが、どの情報をAlexaが読み上げるかは、アマゾン内のAmazon Musicチームがキュレーションしていきます。

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Amazon.com

他社を凌駕するAlexaスキルの数

アマゾンがサイト内で提供する「Alexaスキル」はサイトからのダウンロードもできますが、Amazon Echoに向かって「Alexa、Enable〇〇」(オンにして)と指示を伝えるだけのシンプルな動作で作業します。何よりも注目すべきは、Alexaスキルの数で、今年2月に1万を超えたと思えば、7月には15,000スキルを超えたことをVoicebotの調査が明らかにしており、ライバルのグーグルなどを圧倒しています。

■関連記事:Amazon’s Alexa passes 15,000 skills, up from 10,000 in February(TechCrunch)

15,000以上のスキルの中において、「Today in Music」を含むニュース読み上げスキルの「フラッシュ・ブリーフィング」は、全体の約20%を占めるほど人気となっているのが、スマートスピーカーと音声ニュースの親和性の高さに人気が集まっていることが特徴的です。

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TechCrunch

アマゾンはAlexaを他社製品向けに提供しており、先日ベルリンで開催された「IFA」でもHarman Kardonの「Allure」やBragiの「Dash」、Yamahaの「MusicCast」シリーズなど、Alexa対応のオーディオ製品を発表しています。スマートフォンの次のプラットフォームとして注目が集まる音声アシスタントを導入した製品は、リビングなど自宅でのIoT利用の推進にも期待が高まっており、導入に最適なプラットフォームとしてAlexaやGoogle Assistantを選ぶサードパーティーが増えている業界の潮流がIFAで浮き彫りになっていました。

アマゾンは、Alexaのスキル開発もサードパーティーに解禁しているため、ニュースコンテンツの音声配信を目指すNBCやBBCなど大手メディアから、作品のプロモーション目的でファンとのインタラクションを目指す映画スタジオ、IoTと連携したスマートホームを提供するIT企業、モバイルアプリに音声コマンド機能を追加したいUberなどのサービスから、個人の開発者まで、幅広い人がAlexaスキルの開発に取り組んでいます。

Alexaスキルの開発に早くから取り組むことで、スキル・ストアの充実にも繋がり、Amazon Echoを購入して自分のライフスタイルに適切なスキルを毎日使うモチベーションへとつながります。ただ、質の低いスキル、必要性が問われるスキルも多数存在しているのも事実です。

音楽業界の取り組みでは、7月にオリコンが刊行している業界誌「コンフィデンス」で、「スマートスピーカー徹底研究 「音声×AI」時代を読み解く」という特集記事を3回にわたって書かせていただいたが、その中では、スマートスピーカーによって到来する「音声時代」をテーマに、世界の音楽業界がAmazon EchoなどスマートスピーカーやAlexaをどう見ているか、考え方や視座を音楽ストリーミングサービスやライブビジネスなどの視点を加えた事例や最新動向をまとめてみて分かったのは、音楽業界やエンターテイメント業界が音声AIとスマートスピーカーをきっかけに、ポスト・スマートフォン時代のコンテンツ消費と音楽体験をいかに構築していくかの議論はすでに盛んに行われているということでした。

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例えば、現在アメリカを含むAmazon Echoが利用できる国では、アマゾンが提供する音楽ストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited」や、Spotify、Pandoraなどの音楽ストリーミング、SiriusXMやiHeartRadio、TuneInなどネットラジオサービスがAlexaでは再生可能で、この数は今後も拡大することが期待されています。
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今後Alexaでは、音楽ストリーミングの再生やネットラジオの再生以外に、ポッドキャストやアーティストインタビューの再生などコンテンツの再生、ニュースなど音楽情報の検索、さらには、音楽再生とライブビジネスとの連携の分野でも活用が拡がると期待が高まります。これらの動作は、ユーザーの行動や嗜好をAIが解析することで、好みのライフスタイルに沿った情報を引き出す確実性が高められ、より精度の高い音声操作の世界が広がりそうです。

日本でもスマートスピーカーの可能性が話題に上ることが増えている一方で、「AIと音楽」の話題はといえば、まだ作曲や音楽制作などの議論が中心で、AIの幅広い可能性とは違う狭域な分野と文脈で語られることが多い気がしていることが、自分の中では疑問としてあります。

関連記事:AI作曲は「絞り込み型なら人間以上」 TM NETWORK小室哲哉(AERA dot.)

先日アエラでも特集が組まれるほど、注目が集まってきました。しかし、音楽コンテンツやデバイスにはまず聴いてもらい見てもらわなければ話にもならず、AIが作った音楽として一過性の話題で終わる可能性も少なくなく、AIを使って音楽業界の課題解決や、一般リスナー向けの新しいサービスの開発を含めた、音楽業界との連携との進展には今後注目していきたいです。

ソース
Alexa’s ‘flash briefing’ can now update you on the latest music news and events(TechCrunch)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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