欧米で人気を集める音楽ストリーミングサービスの「Spotify」は、スウェーデンに拠点を置く音楽レコメンデーションサービス「Tunigo」を買収しました。
TunigoはSpotifyが2011年11月に立ち上げたSpotify音楽プラットフォーム戦略におけるSpotify音楽アプリの最初のパートナーの1社です。Spotifyは、「Tunigoは音楽発見を中心とするSpotifyの事業戦略にふさわしい買収です。Tunigoは、2000万曲以上の楽曲を意味のあるものへと変える手助けをしてくれます」とコメントしてくれます。
Tunigoはユーザーが自分の好みに合った音楽と出会い易くレコメンドしてくれる音楽発見サービスです。Tunigoのサービスでは、ユーザーがジャンルやライフスタイル、ムードをセレクトすると、その選択肢に合ったプレイリストを提示します。気になるプレイリストが見つかれば、そのリストを再生するだけで、お気に入りのアーティストや好きなジャンルの音楽を見つけることが簡単に出来ます。プレイリストはSpotifyと連携しているので、再生にはSpotifyアカウントが必要になります。
これまでTunigoはウェブ、Spotify音楽アプリに加え、iPhone/Androidアプリも提供してきましたが、買収後もサービスとアプリは継続して提供されます。Tunigoの共同創業者Nick Holmstenは、「音楽発見の観点からSpotifyとTunigoはパーフェクトな関係にあります。私達は音楽とテクノロジーの熱狂的なファンで、音楽発見の分野をこれからも開拓していくことを楽しみにしています。」とコメントしています。
公式発表はまだ行われていませんが、スウェーデンに拠点を置くTunigoは20人ほどの従業員がSpotifyのストックホルムかニューヨークのオフィスに移動する予定です。
最近ではTwitterが新しい音楽サービス「Twitter #Music」をローンチし、そのサービスのプラットフォームに音楽レコメンデーションサービス「We Are Hunted」を買収しました。デジタル音楽サービスにとって、ユーザーと音楽との出会いを増やすためのパーソナルなレコメンデーションの最適化は、大きな課題になっています。TwitterのWe Are Hunted、SpotifyのTUnigo買収は、この課題解決が重要なアジェンダであることを示しています。
また音楽ストリーミングサービスの特徴の一つに、膨大な楽曲カタログ数があり、これがサービスごとの特徴にもなっています。しかし、いくら楽曲数が増えたからといって、ユーザーが好きな音楽やまだ知らない音楽を見つけられなければ意味がありません。音楽サービスにアクセスする中で、音楽を発見する機会を通じてサービスの価値を高めユーザーの音楽体験を拡張できるかが、音楽ストリーミングサービスにとっては解決すべきチャレンジです。
またSpotifyによるTunigoの買収は、Spotify音楽アプリ提供会社をプラットフォーマーが買収するという新しい関係性を示してくれました。今後も増加するSpotify音楽アプリの価値は、Spotifyのエンゲージメントを高めるだけでなく、自社の価値も確実に高めてくれることをTunigoは証明してくれています。
今年一年は、「音楽発見」はデジタル音楽でキーワードになっていきそうで、今後も注目して行きたいと思います。
ソース
Spotify Acquires Music Discovery App Tunigo, A Spotify-Powered Songza Competitor(5/2 TechCrunch)
Spotify Takes a Page From the Twitter Playbook, Buys Music Discovery App Tunigo(5/2 All Things D)