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欧米で人気の定額制音楽ストリーミングサービス「Spotify」(スポティファイ)は、米国の無料会員向けに当初設けた利用時間の制限を排除することをブログで発表しました。フリーユーザーにとってはうれしいニュースですね。
Great news for all U.S. users – no more invites! (9/27/2011 Spotify Blog)

2011年7月に米国でサービスを開始した時、Spotifyは招待制で無料の「Spotify」、有料の「Spotify Unlimited」と「Spotify Premium」と3種類のアカウントの提供を開始しました。2ヶ月後の9月に、招待制を無くしユーザー登録を完全にオープンへ移行。その際に、無料会員は最初の6ヶ月間はストリーミング再生を無制限の聴き放題できるが、その後は再生時間は月10時間まで、同じ曲の再生回数は5回までの再生という制限を設けると発表しました。

この制限は2011年4月にヨーロッパのSpotify Freeユーザーを対象に開始したルールで、その際にはメディアやブロガー達から反発の声が多数上がりました。(この時期の記事を読み返すと、「Alternative services to Spotify Free」など見かけます)

米国サービス開始から9ヶ月が経過した今年3月、Spotifyは、新市場での予想以上の反響を受け、公表していた無料会員の利用時間制限を無期限で排除することをブログで述べています

Right now, if you’re a free user, you can continue to enjoy millions and millions of tracks without time limits, gimmicks or catches. It’s our way of saying thanks to the US!

 7月の米国進出以来、SpotifyはFacebookとはデフォルトの音楽パートナーとなり、アクティブユーザーの20%に値する300万人の有料会員を獲得してきました。大半の有料会員は30歳以下という部分も見逃せない。

またSpotifyはヨーロッパのSpotify Freeユーザーに課される5回までの同じ曲の再生回数制限を、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、オランダ、スペインで排除しました。ただし欧州のFreeユーザーには、これまで同様、会員登録後6ヶ月間の聴き放題と、7ヶ月目からの毎月10時間のストリーミング再生時間制限がかかります。

今回の制限解除は地域限定ですが、考えられるのはライセンス契約による収益においてレコード会社やコンテンツの権利者、コンテンツホルダーがSpotifyの著しい成長と結果にある程度満足していると言えるからではないでしょうか?

Spotifyにとっても、制限を少なくして競合との競争力を高めていく事は、比較的新しい「コンテンツストリーミング」の分野において成功するために必要なステップだと考えられます。特にSpotifyは各市場において同分野で自らが先駆者であることを認識してもらいながら、同時に全ての市場で同じビジネスモデルを展開しています。ですので、どの機能(または制限をかけること)で差別化を図り有料会員獲得へと誘導するのかの見極めが求められます。米国など新規かつビジネス機会の多い市場においてSpotifyがどれだけ標準サービスとして認知拡大できるか, そしてレコード会社やマーケティング企業が活動を後押ししてあげられるかが今後の成長のカギでしょう。

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ちなみに米国で6900万人以上のアクティブユーザー数を誇るネットラジオサービス「Pandora」も同じ戦略を取り、同社はSpotifyが米国に進出した2ヶ月後に月40時間だった再生時間制限を排除し無制限に変更しています。

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ソース

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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