アップルの音楽ビジネスが慌ただしく変化しています。
米メディアRe/codeは、アップルはメジャーレコード会社と定額制音楽配信「Beats Music」の月額料金を下げるための交渉を進めていると伝えています。
アップルは2015年に向けた新たなBeats Musicのサービス改編のため、メジャーレーベルと新しい権利や機能について議論を始め、この中には現在の月額9.99ドルという定額料金プランをさらに低価格で提供するための新たな価格構成での契約が含まれているそうです。
交渉はまだ初期段階で、アップルはBeats Musicの見直しを2015年に検討しているとのこと。
一般的にサブスクリプション型音楽サービスの月額料金は毎月10ドル、日本では980円が相場で、この金額を支払えばユーザーは音楽がウェブやスマホでも広告に邪魔されることなく聴き放題ができます。ただし今回の噂を考えると、アップルは10ドルは高すぎと思っているようで、この業界のルールを変えようとしている模様。
定額制音楽ストリーミングサービスで世界をリードする「Spotify」(スポティファイ)は無料と有料(月額10ドル)の2通りのプランを提供し、現在1000万人以上の有料会員を抱えています。
アップルが今年5月に買収した定額制音楽ストリーミングサービス「Beats Music」は、無料プランを提供せず、有料プランのみを運営しています。しかし、今年1月のローンチ以来、会員獲得には伸び悩んでいると言われています。
音楽業界では、レコード会社の中でもストリーミングサービスにコンテンツを提供することに躊躇しているレーベルも多く存在しています。しかしアメリカでは、デジタルダウンロードの購入が減少傾向に入り始めたことから、レコード会社や関係者は新たな収入源を探しています。その中で最も大きな可能性を秘めているのが、SpotifyやBeats Musicなどの音楽ストリーミングです。
少なくともアメリカはCDやダウンロードが伸び悩む一方で、ストリーミングは急速に成長しています。その証拠として、SpotifyやDeezer、Rdioなどの企業に加えて、アップルとBeats Music、グーグルとGoogle Play Music、アマゾンとAmazon Primeなど大手企業もこの分野に参入しています。
ただ競争が激しい領域でそれぞれのサービスが差別化に苦しんでいるのも事実。その中でアップルは、月額料金の低価格化または複数の価格設定を軸にBeats Musicでユーザーを獲得する狙いが予想できます。
しかしもっと気になるのは、月額料金が低くなることでアーティストやレーベルに分配されるロイヤリティも同時に低くなるのかどうかということも問題かと思います。
業界のスタンダードとなった月額10ドルという価格設定をアップルが打ち破れるのか、今後の動きに注目です。
ソース
Apple Asks Music Labels For Cheaper Pricing for Streaming Service (10/2 Re/code)